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千思万考

千思万考

    危険と虚構と陰謀だらけの世の中を自己流に斬る、無名大臣の議論ブログ。
2006.07.18
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カテゴリ:北朝鮮
北朝鮮がミサイルを発射して二週間ほどが経過した。世間では北の行動についてのいろいろな憶測が飛んだが、ここに至って私には事態の全容が見えてきたので、記事にしようと思う。後出しじゃんけんのようで卑怯に思われるかもしれないが、まったくその通りなので(笑)、何とでも言って頂きたい。


今回は、現在北のミサイル実験を巡る国際情勢を確認した上で、当初からの日本やその他各国の動き、内外マスコミの報道とそれを比較していきたいと思う。


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さて、まず現在の状況についてだが、このほど、韓国政府が「北朝鮮が六カ国協議再開不応諾ならば、北朝鮮抜きでの五カ国協議の開催を行う意思がある」ことを示唆し、米国のヒル国務次官もそれに同意したことが発表された。そしてその一方で、六カ国協議の議長国の中国が、六カ国協議への参加を北朝鮮に説得するという状態が続いている。


おそらく五カ国協議云々という発表には、中国に対して「早く北朝鮮をどうにかしろ」と暗にプレッシャーをかけようという米韓の狙いがあり、韓国筋を通してそれがマスコミにリークされた理由は、同じ朝鮮民族の韓国からのアナウンスであれば「米国帝国主義の対北朝鮮敵視政策」などというイチャモンを北が唱える口実がなくなると両国が考えたからであろうと思う。


さて、ここで、日米を除いた各国の思惑を指摘しておこう。中国・韓国・ロシアは北朝鮮と陸続きであるため、北を経済制裁で追い込んで壊滅させた場合、経済的な悪影響のみならず、半島での内紛などによる損害や難民問題などで直接的なダメージを受ける恐れがある。よって、効果の薄い日本やアメリカによる単独経済制裁はよしとして、中韓を含んだ包括的経済制裁には反対であり、中国型の改革開放路線を北に要求したいと考えている。そして、これは私の観測だが、その照準を恐らく指導者の交代期に当てているだろう。

このことを踏まえておけば、この三国が日本の国連安保理対北朝鮮非難決議への国連憲章第7条(経済制裁の根拠)盛り込みに様々な形で反対した理由が分かる。問題は、当の北朝鮮と、日本が当てにしていたアメリカが何を考えていたかなのだが、これが今回の騒ぎのすべてを理解する上で、非常に重要になってくるだろう。


まず北朝鮮だが、目下の北朝鮮(金正日)の外交目的を押さえておく必要がある。それは、体制の維持である。
すでに一部の報道では触れられているが、北朝鮮の内部事情については現在、金正日の後継者決めを巡る権力闘争が始まっており、不安定な状態にあるという見方が広がっている。
国際政治の歴史を知るものとしての基本だが、このような政権不安定期には外圧の力が強く働きがちである。そのため北朝鮮は、体制維持を第一の外交目標に据えて行動している。


ここで日本人ならば、ミサイル発射は周辺諸国の反発を買うから体制維持には逆効果なのではないかと思うだろう。しかし、先にも挙げたとおり、中韓露はあくまで北朝鮮の漸進的改革を支持する姿勢なのである。また、日米との間に外交的な緊張状態を維持しておくことは、北朝鮮の指導層にしてみれば、国内をまとめるいい口実なのである。そして、これは『安倍晋三の暴走を止めろ その1』でも触れたが、北朝鮮は日本に本気でミサイルを発射する気などないのである。

さらに言えば、北朝鮮が体制維持を確実にするために必要なことがもう一つある。それは、アメリカとの間で二国間協議を行い、速やかに平和利用容認を含めた核の保有の黙認をアメリカから取り付けることである。その目的のために、北朝鮮は現在、六カ国協議への参加に対して拒否の姿勢をとり続けている。これは、中東情勢にかかりきりで北朝鮮に対して外交的努力と軍事的な実行力を振り向けることのできないアメリカの足元を見た北朝鮮による外交戦術だと言っていいだろう。

よって今回の騒動は、北朝鮮が体制維持の狙いを持って起こした、アメリカ向けのデモンストレーションであると言うことができる。その証拠に、ミサイルはアメリカの建国記念日のシャトル打ち上げに合わせて打ち上げられているし、その軌道を見ても、アラスカを意識していることが分かる。2発の大陸横断ミサイル「テポドン2」が日本海に着弾したことについては発射失敗説も囁かれているが、私はここで、「本気であなたがたを狙っているわけではありませんよ」と、アメリカを本気にさせないために北朝鮮がアメリカに対して暗にサインを送っていた可能性を指摘しておく。

さて、ではアメリカの狙いはどこにあったのかという話だが、これは二つの側面が絡み合っているので、少々理解するのが困難である。


まず、アメリカのダブルスタンダードについて整理しておこう。



アメリカは、日本による今月6日の制裁決議案提示に賛同し、その後の日本の修正案にも賛意を示すなど、日本の行動に対して一定の理解を示していた。しかし一方で、中国に対して北朝鮮の六カ国協議再開の説得工作の時間を与えるなど、相矛盾した態度を取っている。

日本が安保理決議の採択を一旦延期したのは11日だが、その遥か5日前の6日、日本が安保理決議案を提示したその日の会見で、ブッシュ大統領は日本の対応に理解を示す一方で「われわれが声を一つにして発言することこそ重要だ」と発言し、中国主導の対応をも指示する姿勢を暗に強調している。このあたりがアメリカの実に巧妙なところで、「国際協調」を盾にしている以上、日本が表立って文句を言えないようになっており、アメリカが正義の代弁者のようなポジションにおさまるようになっている。


日本が今回の騒ぎで強硬路線を取ってきたのはアメリカが反対しなかったからであるが、11日に急に延期を決めたのは、アメリカが暗に「サミット開催も近いし、中国の顔を立ててはどうか」などと日本にサインを送ったからだろう。恐らくアメリカは、中露が日本の決議案に反対して安保理が紛糾し、その後13日からサミットが開催され、採決延期が自然な流れになることることを視野に入れて計算していたのだろうと思う。


アメリカがこのような姿勢をとっているにはわけがある。それは、アジア問題を中国主導で解決させて中国をアジアの盟主として台頭させる一方で、日本と台頭した中国を対立させて、日本がアメリカにより擦り寄ってくるように仕向けること(日米同盟の強化)である。要は日本は中国向けのアメリカの噛ませ犬であり、日本が騒ぐことで中国はアメリカから「早く問題を解決しろ」というプレッシャーをかけられていることになる。そして日本がアメリカと一体化を強める口実として、「北朝鮮のミサイルの脅威」「中国の軍事的脅威」というものが利用されており、そこには「日本のMDシステム購入」というアメリカの軍産複合体の利益と、米軍再編の費用日本側大幅負担というアメリカ政府の利益が控えている。

さて、この続きは、次回に回そう。次回は、日本サイドの外交的失敗とメディアの報道姿勢への批判を書こうと思う。







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Last updated  2006.07.19 10:24:08
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