カテゴリ:日本経済
クロニクル 足利銀行一時国有化
2003(平成15)年11月29日 18年前のことです。この日金融庁は、足利銀行を債務超過と認定し、一時国有化する旨を発表、即日実施しました。地方銀行の一時国有化ははじめてのケースでした。 金融庁は4月に、極度の経営不振に陥っているりそな銀行への公的資金の投入を決め、5月に同行に対し2兆円の公的資金を投入しています。竹中平蔵金融大臣は、りそな銀行に対しては経営責任を問うことなく、りそなの債務超過説を一蹴、あくまで健全行に対する資本注入スキームによる公的資金の投入であるとの、立場を崩しませんでした。 それに対し、経営規模が小さく、営業基盤が主として栃木県内に限られ、影響力が限定的な足利銀行には、破綻処理を実行するという、どうみても二重基準としか思えない処理策が実行されました。 影響力の大きいりそなは救済する。今後は大手行は潰さず、資本不足と認定したら、貸し渋りを防ぐために、経営責任は問わない事で、経営者の抵抗を防ぎながら、積極的に公的資金を投入するという決意を、間接的に表明したに等しい行為でした。 このメッセージを積極的に受けとめた外資は、長かった日本の金融不況も、ようやく脱出の糸口を掴んだと評価し、13年振りに、積極的な日本株買いのスタンスをとるようになりました。 ここに株価は底打ちし、折からの中国市場の急速な成長にも助けられて、日本経済はようやく、バブルの後遺症から抜け出すきっかけを掴んだのでした。 国有化された足銀は、その後野村証券を中心としたグループに売却され、国有化を脱却し、その後隣県茨城県を拠点とし経営内容の良い常陽銀行との合併を選び、現在は同行中心の『めぶきフィナンシャルグループ』に属しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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