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町のホルモン屋さん 山田ホルモンの若旦那

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2004年10月26日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
山田ホルモンセンターはお休みである。朝から家中は台風のつめ跡である、水が漏れた壁紙の張替えで店のシャッターが開いている。仕入れから帰ってくるとシャッターが開いているせいか、今から営業が始まりそうでなかなか落ち着かない。

肉の真空パックが終わると今日の仕事から全て解放され本格的な休養に入ることになる。しかし実家から車で3分の新居の庭掃除や電気の切り替え、テレビの設置にネットの回線接続、風呂掃除や旅行の写真の現像など、仕事は山盛りである。

たしか婚姻届もまだ出していなかった。結婚式を挙げることで社会的には認められたものの、まだ法的には結ばれてないのである。若女将は「今なら、まだ間に合う!」とか変な冗談まで言っている、がそれどころではない。

まず最初に行わなければならないのは、祖父への挨拶である。私たちのしきたりでは、年長者は絶対的な権限を持っているので、結婚した後に挨拶が遅れる事は許されない。こまごまとした仕事はほっといて、まずは祖父への挨拶廻りである。

私の祖父は叔父と温泉宿を営んでいる。祖父の家を訪ねると叔父が迎えてくれた。今から祖父を呼んでくるという。私たち若夫婦は緊張した面持ちで祖父を待った。祖父は会うなり「挨拶をもらおうか!」と床にペタンと座った。若夫婦は言われるままに、正座で座り大きくお辞儀をした。仰々しいがこれが結婚後に祖父を訪ねる場合の我が家の儀礼である。

挨拶をしてすぐ帰る予定だったが、今日は祖父の誕生日であった。叔父の「食事でもどうだ。」の一言に甘え夕食を一緒にすることになった。叔父は体こそ小さいものの不精髭を生やして威厳がある。いろんなものに興味があるらしく物知りである。

叔父は「焼肉をよく食べに行くが、ここらへんではお前の家が一番いい肉を出している。」と言ってくれた。「お客さんがよく入っている店はいっぱいあるけど、本当に美味しいかと言えば絶対ではない。料理はそこそこでも店の雰囲気、サービス、そしてなによりもシステムが大事だ。」

「若い時はそこそこの失敗を経験しなきゃだめだ。成功体験も大事だが、失敗体験がより人間を大きくする。お前も焼肉戦争に飛び込まなきゃいけないな。」と言ってくれた。この『焼肉戦争』という言葉が何よりも衝撃だった。

焼肉業界は現在苦境と立たされている。一時の『狂牛病』騒動程ではないが、アメリカ産牛肉の輸入再開も目処が立たない今、順風満帆とは言いがたい。まさに生き残りをかけたバトルロワイヤルなのである。

そんな苦境の中の焼肉業界でも勝ち組と負け組みははっきりと存在する。変わらない伝統を誇示し続ける強さや、変わり続ける事ができる攻めの強さ。要は目に見えるコンセプト(概念)とプランニング、そしてシステム作りができた者が勝ち組に属するのである。

私はこの『焼肉戦争』の中にいながら、まだ勝負の場に立つことすらで来ていない。まさにそれを見透かされたような助言であった。『焼肉戦争』に飛び込む勇気があるのか?自問自答してみた。いや問うと言うより運命である。

私の今までの人生はそれなりにスリディングなものであった。しかしこれからの人生はもっとエキサイティングになるであろう。私は今『焼肉戦争』に飛び込んだことを認識したのである。





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最終更新日  2004年10月27日 21時26分06秒



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