町のホルモン屋さん　山田ホルモンの若旦那

今日は朝から慌しい。下関で友人の結婚式があるのだが、前日に何も準備してないので、スーツやネクタイ、コートをタンスから引きずり出して家を飛び出した。私の計算では9時30分に最寄駅の駐車場に着き、走れば34分の電車に乗れるはずである。こういう日に限って田舎の狭い一本道を、軽トラがノロノロと走っている。対向車が来るし、道幅が狭いのでなかなか抜けない。

見通しがいい道で一気に追い越すと3分程オーバーしている。間に合うかなと、駐車場に着いたのが31分。急いで走ろうとした時に駐車場の管理人さんと出くわしてしまった。「どこに行くの？」、「いえ、ちょっと友人の結婚式で…」（誰でもいいだろ!!）「どこで結婚式があるの？」「あの…下関の方です。」（どこでもいいだろ!!）「すみません！急いでるんで行きます!!」とダッシュで駅に向かった。

角を曲がり駅が見えた時、改札口から電車が入るのが見えた。改札口で、「切符は中で買います。」と急いで入った瞬間、目の前で「プッシュー」。敢え無く電車のドアが閉まった。開けてくれるかなと期待していたが、無残にも電車は発車してしまう。

「…だから前日に準備した方がいいって言ったでしょ!!」今朝方若女将が言った言葉が耳鳴りのように聞こえてきた…

結局次の電車に乗り、途中乗り換えの駅で寝てしまい、急いで降りようとすると、すでにドアが閉まって、回送電車で発車しようとする車掌さんにお願いしてドアを開けてもらう始末に…今日はついてない。

結婚式は12時。下関に着いたのは11時49分。祝儀袋を若女将から渡されていたが、「筆ペンがないな～」と聞いていたので、コンビ二で借りようとすると、インク切れ。仕方ないので1本購入し、祝儀袋を開けるとしっかり名前が刻まれていた…今日はついてないな。

12時きっかりに式場に入る。通された場所は教会のチャペル。すでに先客は席についている。急いで席に着いた。既に着いているはずの他の友人が見当たらない。式はすぐに始まり、新郎新婦が入場する。席は通りを挟んで右と左に席が分かれているのだが過ぎ行く新郎新婦の向こうに友人の顔が並んでいる。なんと私はお相手側に座っているようだ…まいったな。

私は教会での結婚式はドラマでしか見た事がない。聖歌を合唱し、誓いの言葉を述べ、誓いのキスをする。その光景を目の当たりにしようとしているのだ。儀式は進行し、聖歌を合唱。いよいよ恒例のあの「儀式」である。白いベールを挙げ、男が少し屈む。私はいよいよだな、と固唾を飲み見守る。

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男はそっとおでこにキスをする。それからそれから!!
　
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それだけである。な～んだ。『チュー』しないのかよ、『チュー』!!　後で本人達に聞いてみると当初は手の甲にキスをするはずだったが、新婦である私の友人が拒み、急遽おでこにキスをする事になったのだ…ついてないな～

結婚式は無事終了し、結婚披露宴、そして2次会に参加し、下関駅を9時に出た。門司で待ち合わせ、小倉で待ち合わせ、折尾で待ち合わせ、直方で待ち合わせ、結局最寄の駅に着いたのは11時20分ごろ、そこから車で20分。家に着いたのは11時40分頃。長い長い一日が終わった。