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ポンコツ山のタヌキの便り

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2018年06月15日
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 前回、「雅人くんは幼稚園から小学校、中学校、高等学校と同一の大学の附属にずっと籍を置いていましたから、とても息苦しい思いをしていました。それが別の府県の全く異なる高校に転籍できる可能性が生じたのですから、こんな嬉しいことはありません」と書きました。

 なお、雅人くんが通った大学附属の進学の仕組みをちょっと説明しておきます。1973年から附属は中高一貫教育に移行し、附属幼稚園、小学校から附属中高への内部進学制度は廃止され、中学校への外部進学者のみの中高一貫校になりましたが、雅人くんが通っていた頃の附属中高は附属小学校から内部進学者と外部進学者が混在していました。他の小中からこの付属の中学やさらには高等学校へ外部進学することは非常に難関で、同高校は県下随一の進学校と評価されていました。

 しかし、内部進学者のなかには学力に些か疑問符が付く生徒もいたのです。そんな生徒の一人が雅人くんでした。小学校六年一学期末に雅人くんの母親が小学校から青ざめた顔をして家に帰ってきました。担任の先生から、このままでは附属中学校に進学できないと言われたのです。雅人くんの母親は学校の成績抜群の才媛でしたから、自分の息子も同様に成績優秀と思い込んでいたのですから、担任の先生の話を聞いてサーッと血の気が引いたそうです。その日から毎日ずっと母の雅人くんに対する特訓が開始され、なんとか彼を附属中学に押し込むことができました。

  母親の急遽の特訓の成果でなんとか附属中学に内部進学することができた雅人くんでしたが、附属中学では難関試験を乗り越えて外部進学してきた秀才たちと席を並べることになりました。これまで机に座ってじっくり勉強などしたことのない雅人くんでしたから、基礎学力が不足しており、継続して勉強する習慣もこれまでありません。親しい友だちも出来ず、息苦しい中高の附属生活を送ることになりました。

秀才たちの集団に突然投げ込まれた競争させられた雅人くんの息苦しさは、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下で』の主人公が神学校の秀才たちとの競争のなかで精神を疲弊させていく心理に通じるものがあったようです。


 そんな雅人くの附属生活高校一年生末期になって、父親の転職に伴う一家引っ越しを理由にしての他高校への転学話が持ち上がったのですから、彼は大喜びしました。

 ところが残念、結局は一家引っ越しせず、雅人くんの転校話も立ち消えになってしまいました。彼の父親の転職しなかっのでしょうか。いえいえ、雅人くんの父親は大阪府茨木市の民間会社で働くことになりましたが、その会社の近くに家を借りて単身赴任することになったのです。

 なぜ雅人くん一家の引っ越し話は立ち消えになったのでしょうか。いま住んでいる家は内川家先祖伝来のものだからで、売ることはもちろん駄目で、他人に貸すことも難しいという理由でした。そんなことを突然言い出したのは雅人くんの母親でしたから、雅人くんは大変驚きました。夫と連れだって内川家の先祖の墓参りなどほとんどしたことのないような母親が「内川先祖の家を大切にしなければならない」なんて突然言い出したのですから、雅人くんは大いに首を傾げましたが、結局は父親だけが大阪府茨木市に新たに借りた家に単身赴任することになりました。

 いま雅人くんは思うのでした。なぜ彼はそのとき大声を上げて「もういまの高校生活には窒息しそうだ。他校に転校させてくれ」と言わなかったのでしょうか。いつも優柔不断な自分自身に恥じ入るばかりです。うん、そうですね、やはり附属のことですから、決断力がフゾクしていた、いやフソクしていたのは致し方なかったでしょうね。えー、お後はよろしいようで。






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最終更新日  2018年06月17日 07時19分07秒
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