カテゴリ:大久保一彦の野草のワークショップ
Le Napouleから、100キロの山道はとても大変だった。フランソワとの約束時間もとっくに過ぎ17時20分となってしまった。途中、何度か連絡をとろうとしたが、まったくつながらなかった。そして、駅前でも携帯の電波がつながらない。
さて、どうしたものか・・ まずは、だれかに聞いて行ってみようということになった。 駅前には閉鎖したホテルと建設関係らしきオフィスがある。まず、建設関係のオフィスの駐車場にいる50歳くらいのおじさんに、フランソワのいるところがわかるか聞いてみた。 おじさんはわかるようだがフランス語しか話せない。紙を取り出すと、地図を書いてくれた。アバウトな地図だが、これでたどりつけるのか・・ 地図を見ながら車を走らせた。 橋のあるところで右折するのだが、最初の橋はどうみても違う。 おじさんが書いてくれた地図にもこの橋らしきもの×としてある。 その次の橋を左折すると、それらしき道があった。その砂利を敷き詰めた道をあがる。 途中でそれらしき看板を発見するもの、ロッジがありそうな気配はない。 道もちょっと怪しくなったので、一度駅まで引き返すことにした。 駅に引き返すと、閉鎖したホテルの年老いた女性が出てきたので、フランソワのことをきいたら知っていると言う。電波が届かない旨を伝え、電話番号を伝えると電話をしてくれた。電話はつながったのだが、電波が悪いエリア故、会話をすることができない。 時間ははや19時を過ぎ、なんらかの方法を考えないといけない時間となっていた。 ひとまずトイレを借りて、もし連絡がつかない場合は動かないほうがいいだろうということで、近くのホテルを教えてもらって、そこでコンタクトをとる作戦に変更した。 しばらく走ると『Auberge le clos Jamac』というオーベルジュがあった。 ひとまず、カフェをしながら、電話を借りることにした。 感じのよい、若いギャルソンに「フランソワ・クープランという男とコンタクトをとりたいがわかるか?」と尋ねると中からシェフがやってきてわかるということになった。ギャルソンは私に電話番号を尋ねてきたので、電話番号を伝え、「私がここにいることを伝えて欲しい」とお願いした。今度は電話がつながった。しばらく、シェフとフランソワが会話をした後、「ここで動かず、まっていろ、と伝言を受けた」と伝えにきた。 時は20時過ぎ。これが旅というものだ。 30分くらい経過しただろうか、フランソワのランドクルーザーがやってきた。迷子になった子供のところへ親がやってきたときの気分はこんな感じだろう。 フランソワに大変心配をかけてしまった。しかし、お互い抱擁して再会を祝した。 私たちは、フランソワの車の後についていった。「道は悪いがゆっくり走れば大丈夫」と言った。 フランソワの車を追いかけて行くと、しばらくして左折した。先ほど、右折して走ったところだ。やはり、私たちの進んだ道は間違っていなかったのだ。次は右折。ここも間違っていなかった。 すると、突然、犬二匹があらわれフランソワ車がとまった。なんと羊飼いが降りてきたのだ。 1200匹もいる。そこで10分ほど、羊が行き過ぎるのを待った。 そして、車はしばらくして走りだし、しばらくして止まった。先ほど通り過ぎたところだった。 フランソワが降りてきて、「ここからはこの車でしかいけないので、車はここに置いて、乗り換えてくれ」と言う。あのおじさんの地図、つまり最終目的地はあっていたのだ。ただ、ここで三つに分かれていることが書いていなかった。 フランソワの車に乗ると、フランソワはその書いていない道――というかオフロードをパリダカの車のように、うねって走る。 そして、道の途中で止まった。「ここの上にあなたが泊まるロッジがあり、下がワークショップの場所だ」と言う。 「これじゃあ、一回来たことがないとわからない!」 必要な荷物を、上のロッジにおろして下に降りた。20時30分、初日の夕食だ。 初日の夕食は酸味の効いたイラクサのカスパチョ、カリカリのピザのようなトースト、デザートはブルーベリーとカシスのソースのポレンタだ。 食後は翌日、説明するニガヨモギを使ったお酒アブサンを飲んだ。このお酒は大ヒットしたが、ワインが売れなくなったためにワイン業者がロビー活動をして禁酒にしたのだとフランソワは言う。 食事が終わるともう、真っ暗。懐中電灯がないと歩くことができない。 シャワーを浴びて、寝ることにした。 Auberge le clos Jamac Route Departmentale 4085 "la tuiliere" 04330 SENEZ 電話 +33 49 23 42 04 7 本日のおすすめ ナチュラリストのための食べる植物栄養学 [ フランソワ・クープラン ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.02.12 13:11:22
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