山田太一著「飛ぶ夢をしばらく見ない」ご冥福をお祈りします。
今朝のNHKのニュースで数々の名作ドラマの脚本を手掛けた「山田太一」氏の訃報が流れ、昭和の名ドラマ「ふぞろいの林檎たち」や「岸辺のアルバム」を懐かしく思い出しました。テレビ史の歴史に残る「岸辺のアルバム」を検索して山田太一氏自らが執筆した小説を基にドラマ化したものである事を知りました。 故安西水丸氏デザインのノート 山田太一氏の小説と言えば、忘れられない一冊は「飛ぶ夢をしばらく見ない」です。2013年に文庫化されています。当時読書感想ではなく読んだ本の中で気に入った文章をノートに書き写していてそのノートの1ページ目がこの「飛ぶ夢~」でした。 ノートには下記の文章を書きました。【ブラックホールの理論的研究者として有名な英国ケンブリッジ大学のS・ホーキング教授(43歳)が京都大学で開かれた基礎物理学研究会主催の講演会で「現在膨張を続けている宇宙が収縮期に入ると時間の向きは逆転する」と解説した】【時間の矢と題するこの講演はコーヒーカップが割れる様子とそれを逆回しした映画から始まった。我々の身の回りでよく見られる現象はカップが割れて粉々になるように、時間が秩序から無秩序に向いている。これが熱力学の第2法則(エントロピーの増大)だ。この熱力学的な時間の矢印は宇宙が大爆発(ビッグバン)以降。広がりつつある今だからこその向きであり、将来とも同じだという保証はないと教授は主張する。宇宙や時間が四次元的に閉じていると仮定すれば宇宙が収縮を始めたら熱力学的な時間の向きは逆転し、無秩序から秩序へ向かう」と話した】 当時は割れたカップが元に戻る様子を想像して目から鱗になりこの文章を書き写したのだと思います。この小説中では主人公が出会った女性が暫くして再会した時に若返っていて老女から少女、そして幼女へと姿を変えて行くという内容です。確かブラッド・ピット主演の映画でもこんな内容の映画があってシンガポールの映画館で見ました。 名脚本家であり小説家であった山田太一さんのご冥福をお祈りします。