いきなりですが、株式投資の世界では、「小型株効果」という現象が存在するのだそうです。
「長期であれば、小型株は大型株より良好なパフォーマンスをもたらす」というのが要旨のようです。これが本当ならば、TOPIXのような市場平均に投資するより、小型株のインデックスに投資したほうが良いリターンを得られることになります。ということは、市場インデックスを空売りし、小型株ポートフォリオを購入する裁定取引を行うことで、楽してぼろ儲けが出来るということに・・・っ!?
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・・・・・・・そんなうまい話が本当にあるんでしょうかね?
そこで、「小型株効果」の有無をざっくり検証してみたいと思います。
まずは、過去およそ20年間(1991年1月~2010年6月)における、(1)市場インデックス(TOPIX指数)と(2)小型株指数(ラッセル野村小型株インデックス)の時系列データを探します。TOPIX指数については、YAHOOファイナンスhttp://finance.yahoo.co.jp/の時系列データから、ラッセル野村小型株インデックスについては、「野村證券金融工学研究センター」のホームページ(http://qr.nomura.co.jp/QR/FRCNRI/frnri_download_jn.html)から手に入れることが出来ました。
尚、ラッセル野村小型株インデックスには配当込みと配当なしの二つがあるようです。今回は配当込みの方を使います。
続いて、手に入れた時系列データから月次リターンの平均値と標準偏差を求めました。
すると、結果は以下の通りになりました。
■平均月次リターンと標準偏差
○わかったこと
1.小型株効果は存在していそうである。
この期間、小型株の月次リターン平均は、TOPIXを0.18%強上回っていました。単純に年率換算すると、小型株は一年間にTOPIXを平均で2%強も上回る結果を残していたことになります。小型株を持っていた方、おめでとうございます!
2.小型株効果の強さは年度によって差があり、短期では劣ったパフォーマンスも。
1990年代については、TOPIXの平均月次リターンが+0.17%なのに対し、小型株は△0.19%という結果に終わっています。小型株に投資する戦略は、あくまで「勝率が若干高くなる」というレベルのものなのかもしれません。
以下の折れ線グラフは、各年度別の、小型株のTOPIXに対する超過リターンをグラフにしたものです。年度によって超過リターンに大きな差があることが分かります。
■小型株のTOPIXに対する超過リターン(月次平均)
3.リスク(標準偏差)は小型株の方が一貫して高い
リスクは、ある金融商品のリターンのばらつきを表す統計量です。高いリスクに対して高いリターンを求められるのが、市場の原則です。よって、価格の変動が大きく、更には流動性も小さい小型株が高いリターンをもたらすというのは、市場がまっとうに機能している証拠といえるではないでしょうか。
さていろいろと調べた結果、過去に小型株効果が存在していたことは確かめられました。
ただ、今後も効果が続くとみなし、小型株に投資をすることが適切なのかどうかは分かりません。来年以降、90年代のような低迷期に入る可能性だって十分にあると考えられるからです。
なので、市場インデックスを売って、小型株を買うという戦術は辞めておいたほうが良さげです。
ちょっと残念。