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1911年8月29日、東京朝日新聞が「野球と其害毒」連載を開始、9月22日まで22回に渡って野球に対するネガティブ・キャンペーンを展開する。 これを題材としたのが、井上ひさし「下駄の上の卵」。 しかしこの4年後(1915年)、大阪朝日新聞社は、現在の高等学校野球大会を実施することとなる。この時の社会部長として奔走したのが長谷川如是閑。 当時の社説には「攻防の備え整然として、一糸乱れず、腕力脚力の全運動に加うるに、作戦計画に知能を絞り、間一髪の機知を要するとともに、最も慎重なる警戒を要し、而も加うるに協力的努力を養わしむるは、吾人ベースボール競技をもってその最たるものと為す」と書かれている。 以下は、4年前に紙面を飾った意見。
新渡戸稲造第一高等学校校長 「野球という遊戯は悪くいえば巾着切りの遊戯、対手を常にペテンに掛けよう、計略に陥れよう、ベースを盗もうなどと眼を四方八方に配り神経を鋭くしてやる遊びである。ゆえに米人には適するが、英人やドイツ人には決してできない。野球は賤技なり、剛勇の気なし」
金子魁一東京大学医科整形医局長 「連日の疲労は堆積し、一校の名誉の為に是非勝たなければならぬと云う重い責任の感が日夜選手の脳を圧迫し甚だしく頭に影響するは看易い理である」
松見文平順天中学校校長 「手の甲へ強い球を受けるため、その振動が脳に伝わって脳の作用を遅鈍にさせる」
川田正澂府立第一中学校校長 「野球の弊害四ヵ条。一、学生の大切な時間を浪費せしめる。二、疲労の結果勉強を怠る。三、慰労会などの名目の下に牛肉屋、西洋料理等へ上がって堕落の方へ近づいていく。四、体育としても野球は不完全なもので、主に右手で球を投げ、右手に力を入れて球を打つが故に右手のみ発達する」
「盗塁」は、「Stolen Base」の訳語である。考えて見れば、野球用語、結構アブナイ言葉がある。「刺殺」とか「封殺」、「暴投」。 『下駄の上の卵』は、ホントに風刺のピリリときいた快作であった。 しかし、この「野球害毒論」。的外れとばかり言えないのでは? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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