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まろ0301

まろ0301

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2013.11.25
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カテゴリ:カテゴリ未分類

 百人一首関係の本を読んでいます。

 まず、『百人一首』吉原幸子 平凡社 詩人らしく訳は詩の形をとっています。

 

 ひとしきり激しく降って

 むら雨が 通りすぎたあと

 木々の葉は まだしっとりと重たげに

 風に 雫をふりおとしている

 その足許から

 山霧が ゆっくりと這いのぼる

 夕闇といっしょに

 

 濡れた林が

 霧に ほの白くかすんでゆく

 

 秋の夕暮

 

 村雨の露もまだひぬまきの葉に 霧たちのぼる秋の夕暮 寂蓮法師

 

 見開き二ページで二首紹介されています。元歌と訳詩とはカラー版で、歌かるた、或いは肖像画。そしてそれぞれの歌について、上下二段に分けて次のページで解説がしてあります。

 恋の歌についてはかなり力が入っております。

 「いつみきとてか恋しかるらむ」中納言兼輔 については、「ここに歌われている恋が相手を見ただけでまだ片思いの段階なのか、それともすでに『逢った』、思いを遂げた、あとでますますこいしがっているのかというところ」以下、延々と続くのであります。

 

 『ハンドブック 百人一首の旅』神作光一監修 名古屋重郎・長谷川哲夫著 勉誠出版

 これは、見開き二ページで右ページに元歌と訳、そして解説、作者について。左ページに作者にちなんだ土地の解説とルートの説明があります。まさに、この本を片手に全国を巡るのには好適かもしれません。

 

 そして、『私の百人一首』白州正子 新潮選書 

 天智天皇の「秋の田の」から、順徳院の「百敷や」まで作者独特の解説が記されています。一首一首の解説本としては、私にとってはもっとも有益であった本です。

 立場がはっきりしていて面白いのですね。たいていの歌は一ページ半ぐらいで片づけてあるのですが、和泉式部には4ページ、西行にも4ページ、式子内親王にも4ページ、実朝にも4ページ。定家にはさすがに5ページ。そして後鳥羽院には7ページ。

 この本の表紙には著者の以下のような言葉が記されています。

 「百人一首を書いてみて知ったのは、一つ一つの歌を切りはなして味わうわけにいかないということだった。和歌の季節やつながり方に、綿密な注意が行き届いているのは言うまでもないが、それぞれの人間関係と、その人々の逸話や歴史にも、深く心を用いており、一篇の物語を読むような心地がした。今まで多くの百人一首が作られた中で、鎌倉時代の小倉百人一首だけが生き長らえた所以は、そういうところにあると思う」

 この本は昭和51年発行ですが、その二年後の昭和53年に、文字通り「一篇の物語」として百人一首を読み解いたのが、織田正吉氏の『絢爛たる暗号』集英社 です。明石のNさんからご教示いただいて図書館に予約を入れて読んでみたのですが、驚きました。

 私の「読んでみようかな」の原点は「ちはやぶる」なのですが、定家はなぜ、どんな基準でこの百首を選んだのか?定家自身の歌にももっといいのがあるのに・・・という疑問でした。織田さんはもっとはっきり書いています。「選ばれた駄作・愚歌」(p18)「滝の音は」「吹くからに」がやり玉に挙がっています。どうやら、この疑問は以前からあったらしく、契沖なども指摘しているようです。さらに著者は、第二章「同じ語句 よく似た歌」で、具体的に例を挙げます。

 たとえば「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ」

「君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ」などこのような例は16に及びます。また共通の語句を持つ組もあります。

 「ちはやぶる神代もきかず龍田川からくれないに水くくるとは」

 「あらし吹く三室の山の紅葉葉は龍田の川の錦なりけり」

 このような例は8例。

 同じ語句が二か所で共通する歌。

 「奥山に紅葉ふみわけなく鹿の声きくときぞ秋はかなしき」

 「世の中よ道こそなけれ思ひいる山の奥にも鹿ぞ鳴くなる」

このような例は9例。

 そして第四章「つながりあう百首」で、著者は一首一首の連鎖、相互に響き合う関連性にメスを入れ始めます。

 そして第五章「流され人の歌集」以後、一気に核心に入ります。

 「『百人一首』の歌人の選び方には大きなかたよりがある。そのかたよりの一つは、流罪を受けた人物とその関係者の歌が非常に多いことである。『百人一首』に選ばれた歌人で、流人とその関係者は、・・小野篁、菅原道真、崇徳院、後鳥羽院、順徳院だけではない。大伴家持、在原業平、藤原元輔、藤原実方もルラ人或いはそれに近い措置を受けた歌人である」(p125~6)

 そして、定家ともっとも近しい関係にあった流人とはだれか・・。

 百人一首は、元々は色紙に書かれていたものであった。それが編集されて現在のように順番が整えられた。著者は、p206~7で、色紙にかかれた形での配列を復元しています。その内的な関連についてはお読みいただいた方がいいでしょう。

 そして、もうひとり、著者は定家の「秘めたる恋」を推理します。さて、ここでワタクシ、白州さんの慧眼に恐れ入るのです。『私の百人一首』p193以下をお読みくださいませ。

 これから、『百人一首の謎』織田正吉 講談社新書 『田辺聖子の小倉百人一首』角川書店、を読むつもりにしております。

 ところが来週から定期考査。うーむ・・・やらねばならないことが出てくると無性に本が読みたくなるというワタクシの病弊、なんとかならないものでせうか。






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Last updated  2013.11.25 22:12:52
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