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3月29日 『グローバリゼーションと人間の安全保障』アマルティア・セン 日本経団連出版 H21 2月 市立図書館 サミュエル・ハンチントン『文明の衝突』をほぼ全否定。当然だろう。あれほど雑な本が売れたということ自体、不思議というか、ここまで単純化してどうすんだ・・・と思っていたことをズバっと指摘している。 グローバリゼーションをかなり広い歴史的文脈でとらえている。世界の一体化、それによる文明の交流という概念。そして、地域閉鎖主義はマイナスにしか働かないという観点。宗教的寛容と、世俗国家の擁護。アショーカ王の事績、アクバルの事績を評価。 不寛容なヨーロッパから逃れたユダヤ人マイモニデスは、カイロのサラディンのもとで要職に就いた。 現在問題となっている「グローバリズム(経済面での)」に対しては、分配と正義の面から論ずる。 「グローバルな資本主義制度は、民主主義的統治による政治的対立や人権活動家たちの主張から発生する混乱状態よりは秩序ある独裁政治の方を好む傾向があります」とは、シンガポールの事か? 武器輸出に対しても厳しい批判。 「アイデンティティ」を宗教のみに限定する考え方の危険性も指摘。
3月30日 『人生のきほん 佐野洋子対談集』講談社 西原理恵子とリリー・フランキーとの対談 2011年2月 男女共同参画センター(ここはユニークな品ぞろえで面白い)
全員武蔵野美大つながり。 佐野の独特の死生観。 身内の死が続き、北京での体験(死体がごろごろ)が、根っこにある。 「人は自然に死んでいくものであって、人の臓物を買ってまで生きるという事は、それはもう命じゃないと思う」という指摘は根本的なものに触れる。特に、「臓器移植」は、「脳死」と密接に関係してくる。「臓器移植」を待つという事は、「どこかで脳死になる人が出てくるのを待つ」という事になる。その事についての違和感が私からはずっと離れないでいる。 人工授精、他の女性に妊娠してもらって子どもを得るという点についても違和感がある。「子どもが出来ない人が子どもを欲しがる、そして技術的に可能である、それのどこがいけないのか」という論理に対する違和感なのだろうけれど、「じゃあ、『こんなことが出来たらな』という欲望があり、それが技術的に可能になったら、どこまで許されるのか」という思いは強い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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