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ちくま文庫(日本文学全集)で、「にごりえ」「大つごもり」を読み終える。「たけくらべ」もそうなのだが、一語一語丁寧に読むのにこれほど適した作品もない。うまいなぁと思わせられる。高校の国語の教科書には鴎外の「舞姫」がよく載っているのだが、擬古文を味わうには一葉の方がいいのではと思う。
市井に暮らす人の生活は私たちのような市井の人間が書かないと・・。
という意味のことを一葉は妹に言っていたらしい。 楼の売れっ子と、持ち金すべてをつぎ込んで、妻にも子にも去られてしまう男は、やはりこういう結末を迎えるのかと納得しつつも寂しくてならない。 ここでもお金の苦労が語られる。しみったれの主人に良いようにこき使われている少女が、ふと過ちを犯してしまい怯えて暮らすのだが、本当に意外なオチが待っていた。ええっ、これは、オー・ヘンリーではないか・・・と思ったほど。一葉さん、やってくれるではないか!と思わず快哉を叫んだ。 あと二十年、いや十年書いたなら、どんな傑作が誕生したかと思うと惜しい。 もう一度、「たけくらべ」を読み、他の作品も読んでみたくなった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.04.03 20:57:25
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