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今年の最大の収穫は、平野啓一郎さんの『葬送』を読んだことかもしれない。なんのことはない、授業でフランスの七月革命を取り上げることになり、「民衆を導く自由の女神」の作者ドラクロワについての作品があると思いだして、手に取った。ドラクロワとショパンの間に交友があったことも初めて知り、ジョルジュ・サンドの娘との確執についても初めて知った。実に面白く読み終えた。
ここから脳内で飛躍が起きる。 「『カラマーゾフの兄弟』を読んでみよう。『葬送』を読めたんだから」。 手元にある『カラマーゾフ』(原卓也 新潮文庫)は、もう古びていて活字も小さい。古本屋に行ったら、新潮文庫版が上中とあった。活字も大きい。下を本屋で買って読み始めた。一度読んだはずだが、完全に忘れている。とても便利である。ただ、「大審問官」の箇所だけはおぼろげに記憶にあった。 改めて思ったのは、少年たちの描き方の巧みさ、最後の場面が少年の死とそれを送る父と少年たちのエピソードであることに胸をうたれた。 それにしても、なんという言葉の奔流。実は『カラマーゾフ』に取り掛かる前に、『死の家の記録』を読んだのだが、比較にも何にもならない。 その後「百分de名著」で亀山さんが『カラマーゾフ』を取り上げた。こうなると、亀山訳でも読んでみたくなる。購入し、これは新年のお楽しみ。 平野さんの『マチネの終わりに』も読んだ。 作品そのものにも感動したのだが、「バッハは30年戦争の後の作曲家だ」という言葉が何故か強く印象に残り、図書館でロストロポーヴィチの「無伴奏チェロ組曲」を借り出して、カーステレオに入れて毎日毎日聞き始めた。 その後、「蜜蜂と遠雷」のモデルとなった「浜松国際ピアノコンクール」というNHKの番組を見て、『蜜蜂と遠雷』を読んだ。学校の図書館で借りたのだが、返しに行った時に司書の先生から『羊と鋼の森』宮下奈都 文芸春秋社 という本を薦められて、初めてピアノの調律師の世界に触れて、「平均律」という言葉の意味を知った。「羊」の意味も。 今は、『ヨーロッパの略奪』リン・H・ニコラス 白水社 を読んでいる。「ナチスドイツ占領下における美術品の運命」が副題。年越しの一冊になりそうだ。 来年は、学生の時の友人たちとの読書会がある。『阿部一族』を読む。私以外は全員国文なので、参考になる事が多い。まず、何度も読むことが必要となる。 授業は9日から。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.12.31 21:48:19
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