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現代刀、越後国義光作 二尺五寸弱 反り 六分
過年、何回も此のブログで紹介しました大野義光刀匠の裁断刀ですが、写真を撮るのが難しく詳細な画像は掲載していませんでした。 今回画像を取り直して、地鉄、刃紋を目で見る状態に近づけたらと思い掲載しました。 鍛刀依頼の経緯については、過去何回か記述していますので今回は敢えて記述は致しません。 【愛用の現代刀】【過ぎ去りし日、刀匠、金工の手紙】 詳細は上記をクリックして御覧ください。 写真を何枚か掲載致します。 ![]() ![]() ![]() 地鉄は細かく密に鍛えられ、小肌な肌目も見て取れます。 下写真は焼が高いので、写真では肌目の確認がしずらいです。 ![]() ![]() ![]() 所蔵の刀を観るときはどうしても身贔屓になりがちですので、その点については何卒ご容赦お願い致します。 刃紋は大野義光刀匠得意の重なり合う丁子で、あたかも夏の青空にムクムクと湧き出る入道雲を想起するのであります。 逆がかった重華丁子は丁子足が長く、私自身では入道丁子と呼んで鑑賞しています。 当時、鍛刀依頼したとき刃紋は丁子乱れを依頼したわけでは無かったのですが、依頼の寸法や体配は南北朝期の姿ですから、必然刃紋は南北朝期の青江刀工の逆丁子となったようです。 無鑑査クラスでは、過去類例の無い【姿に刃紋】は焼けなかったのだろうと思っています。【例えば南北朝期の姿に助広の濤乱刃等です。反面丁子刃を焼くとなれば、猪首鋒の鎌倉中期の姿となります。】 大野刀匠から打ち卸しを頂いたときには、刃紋の確認は良く出来ず、裁断刀の研ぎは名倉迄でしたから、刃紋は全く見えませんでした。 据え物斬りに使用して一年後位でしたか、強靱性はもう充分と自分で納得して研ぎ直しに出しました。何時もの研師に依頼して、研ぎ上がりが現在の状態です。 もう三十数年前ですが、その時に初めて此の入道丁子を目にしました。裁断刀としては余りに華やかで、違和感を感じるほどの出来映えでした。 研師も感嘆頻りで話に花が咲き、何時もより長居したことなど思い出します。 此の逆丁子と呼ばれる刃紋ですが、幅一寸程の刀身に斜めに丁子を焼くことで、より大きく見せる所作を現出した、南北朝期の青江刀工の美的感覚は、当時とすれば突出していたのではとも思っています。 今まで色んな丁子乱れを見てきましたが、大野刀匠の様な入り組んだ丁子乱れは類例が無く、他の追従を許さない技術レベルで有ろうと思っています。 此の刀は、実用裁断刀として生まれ出ていますが、鑑賞刀としても圧倒的な存在感を醸し出しており、手入れ鑑賞する度に上手いなぁと何時も思っています。 本来なら、研ぎは刃取りをせずに、差し込み研ぎの方がより本領発揮するものと思われますので、再研磨する機会があれば、次回は差し込み研ぎを依頼する旨予定しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.11.15 00:00:17
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