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カテゴリ:労働・社会保険制度
4月に入ってすでに1週間が経ってしまいました。
またまた更新が滞ってしまっているこの頃です。 4月といえば、労働関連の改正法がいくつか施行されましたね。 まず、雇用保険法ですが、3月末ぎりぎりに国会で法律が成立して直ちに4月施行という、もう毎年の恒例のように施行まで余裕のない法律です。 今回の法改正のポイントは、 1 保険料率の改定(昨年暫定的に引き下げられた保険料率を元に戻す措置) 2 雇用保険被保険者の適用範囲のさらなる拡大(週20時間以上の所定労働時間のもので、6ヶ月以上の雇用見込みから31日以上の雇用見込みがあることへの変更) 3 雇用保険の遡及適用期間の拡大(給与から雇用保険料を控除されていたにも関わらず、雇用保険への加入措置をとっていない場合には、2年を超えての遡及が可能) の3点になります。 いずれも実務に影響がある内容ですが、中でも2については、2~3ヶ月程度の短期契約のパート従業員(ただし学生アルバイトなどは除く)を雇った場合でも、雇用保険に加入させなければなりませんので、短期の雇用契約で繋いでいた事業主にとっては負担が増えることになりますし、一方で雇われたパート従業員にとっても雇い入れ1ヶ月目から保険料がかかってくるばかりか、最低でも6ヶ月以上雇われていないと失業給付を受ける権利さえも生じてこないので、ただ保険料を掛けただけで終わってしまう可能性も多くなってきます。 もう一つ、4月施行の法律に改正労働基準法があります。 頻繁に法改正が行われている法律ですが、今回の法改正のポイントは、 1 時間外労働協定(36協定)において、厚生労働大臣が定める限度基準における限度時間を超える協定(特別条項付きの36協定と言います)を結ぶ場合には、限度時間を超える部分について割増賃金率を定めるとともに、その部分については2割5分を超える割増賃金率を定めるよう努めること 2 特別条項付き36協定において1ヶ月60時間超の時間外労働について定め、実際にその時間を超えて労働させた場合には、割増賃金率を5割以上とすること(ただし、当面は大企業のみの適用) 3 上記2の5割増し賃金のうち、2割5分の部分については、労使協定により割増賃金の支払いに変えて代替休暇とすること(当面は大企業のみ) 4 労使協定により、時間単位の年次有給休暇をとれるようにすること となっています。 これらは、長時間労働を抑制することにより労働者の健康を確保することを目的として設けられた改正内容ですが、中小企業では当面猶予されている措置もあり、さらに特別条項付きの36協定を結んでいなければ適用対象にならない部分もありますので、多く影響を受けるわけではありません。 そんな中で、ポイントの最後の時間単位年休については、もちろん労使協定を結んだ上で初めて要件が生じるということではありますが、多くの事業所での適用が考えられるかもしれません。 むしろ、時間単位年休制度を上手に活用することを考えるべきではないかと、自分自身感じています。 もちろん事業所によっては、生産ラインなどの全員が一斉に作業を進めて行わなければならないようなところでは、その適用は難しいかもしれません。 しかしそれ以外の事業所では、一考の余地はあるのではないかと思います。 年次有給休暇は暦日単位でとるのが基本ですが、これは充分な休息をとったと感じるためには、それがもっともふさわしいと考えるからです。 しかし、なかなか1日単位では休暇をとりにくいという状況や、時間単位でとれれば病院への通院など短時間で済む所用に活用できるという点で、より使いやすい時代の要請に応えたものとも言えるのではないでしょうか。 ただし、すべての年休を時間単位でとることはできません。 法令では5日を限度としていますので、その範囲で時間単位年休をとれるようにし、日単位での年休と区別しておくことが必要です。 ただし、時間単位年休を事後に遅刻や早退にあてるなどすることのないように、労使協定で定めた上で運用することが必要と思います。 そこに、時間単位年休制度を活用していく大きなポイントがあるように思います。 また、時間単位年休の付与は5日を限度としていますので、これを超えて取得した場合には法令違反となることも踏まえておく必要があります。 実務的には、時間単位年休とそれ以外の年休の管理を区別しておいた方が良いかもしれませんね。 なるほどと思った方はポチッとお願いします。 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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