小説すばる　2012年10月号

恋愛論パッサカリア　杉井光

しがないスタジオミュージシャンの僕に、世界的映像作家との仕事が舞いこんだ。
その人物は、気になる彼女の元夫。プライドを賭けた大仕事の行方は・・・？
（小説すばるより転載）

スタジオミュージシャンの僕・蒔田（まきた）が主人公の話、第三弾です。

第一弾から出てきているシンガーソングライターの海野リカコ。
蒔田と不思議な縁で結ばれているリカコですが、そちらは世界的歌手。
蒔田は才能はありますが、全く無名の音楽会の裏方です。

その蒔田に五人組アイドル・プレシャス乙女のプロデュースの
仕事が舞いこみます。しかし、このプレシャス乙女、歌がへたくそで
有名なアイドルグループ。その上新曲のプロモーション映像は、
世界的映像作家にしてリカコの元夫。この新曲のプロモーションは
成功するのか?と言う話です。

毎回、頭の回転の速さでトラブルを乗り切ってきた蒔田。
蒔田の提案は大成功になるのですが、頭の回転の速さより、
本業の音楽の才能を発揮したことによる成功。
人脈もフルに使う蒔田の行動力が成功に結びつくのはいつもの展開です。

一種のサクセスストーリーですね。、
表舞台に出ない、どちらかというと裏方に近いスタジオミュージシャンが主人公、
のはずなのですが、だんだんと表舞台に近づいています！

そして、より恋愛小説の面が強くなってきました。
ちょっと少女漫画チックな展開です。
でも読んでいてドキドキしてしまうのは、
作者の術中に陥いっているからですよね・・・。

ところで、この世界的映像作家とシンガーソングライターと言うコンビ。
なんだか紀里谷和明さんと宇多田ヒカルさんがモデルとしか
思えないのですが・・・・（笑）


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