国にてあらず。
季刊誌「華」 高校教師を定年退職され、現在は故郷の鹿児島・阿久根に戻られ、第二の人生を老人ホームでの老人介護に求められた我が師は、歌人・歌詠み人である。「華短歌会」を主宰され、後進の指導に当たるかたわら、「華」という題名の季刊誌をも発行されており、この夏の新緑号で第71号を数えるまでになった。四季折々に、この「華」の読者になれる私は果報者である。 さて、今夏号は歌集紹介のなかで、二十首を選び、特に、そのうちの一首を取り上げておられる。このようなことは、実に、稀なることである。 仕事せず銭まみれなる政治家ののさばるこの国は国にてあらず 短歌会主宰者の我が師は、「あの温和な方がここまで激しく言うか!」と驚いている。 この歌の作者は、かつてまだ文部省といった時代の政府高官を務め、時々の大臣の仕事振りを近くで見聞する機会も多かったらしい。「あの温和な氏がここまで言うなら、それはなによりの証言であろう」と書いてある。短歌もこういうことを歌にして詠んでこそ価値がある、と私も思う。政治家ばかりでなく、官僚こそが問題の根が深いように思われる。この国は、「議院内閣制」ではなく、「官僚内閣制」と揶揄されるほどに哀しみが沁みている。 「もう、そろそろよいのではないか」と、本気で思い始めている。「たった一人の叛乱」を本気で実行すべき時期はとうに熟しきっている。叛乱の具体的方法は、選挙である。