台風の通過に伴う、乾いた風には要注意。
各地で台風通過に伴うフェーン現象がおこっている・・・ということで
2015年記事の採録です。
気象条件が想定外の被害を引き起こしたひとつの例として、よろしかったらご参考に。
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『台風の通過に伴う、乾いた風には要注意。』
収穫された後、おコメは 等級検査という品質検査を受けます。これは
検査員による目視検査。
一定の量のなかで、整った形をしている米つぶの割合[整粒歩合]や虫
による食害の有無、さらには米つぶそのものの透明感などという検査項
目を経たうえで、最上級の一等米から 順番に 二等米、三等米そして
規格外/等外というぐあいに分類されていきます。
当然のことながら[品質の良さから]1等米の価格のほうがより高い値
がつくことになり、生産する農家さんたちは「育てたおコメが、より多
くの1等米であるように」と、努力し願うものなのです。
このようなコメ生産農家の通信簿というような意味合いを持つ等級検査
における数値の実際例があります。 平成17年から19年までの3ケ
年のあいだ の、7月中に収穫される宮崎おコメ全体の等級検査の数値
例です。
ののの等級 17年 18年 19年
ののの1等 57% 54% 0.2%
ののの2等 37% 35% 0.4%
ののの3等 05% 09% 26%
ののの等外 01% 02% 70%
この表の17年や18年の数値が、平均的な年の宮崎における等級検査
の実際例です。1等米と2等米の合計が、収穫量の90%を占めるかん
じですね。
そしてここで問題にしたいのが平成19年における等級検査の数値です。
1等米と2等米の合計でも1%に届かず、さらには規格外のおコメが7
割もあったという、平成19年のこの異常ともいえる数字 は どうで
しょう。
1等米と2等米の合計でも1%に届かず、さらには 規格外のおコメが
じつに全体の7割にも及んだたというこの数字の意味するものとは、い
ったいどんな事象[がおこったのか]だというのでしょう。
じつはこの現象をおこした主原因が、今回のテーマとなる
台風通過後の吹き返しの熱風
なのです。記録では、長時間(じつに23時間と公式記録されています)
にわたる高温で・乾燥した台風の吹き返しの強い風が、その後イネの生
育に大きな影響を及ぼしたという結果なのです。
こわかったですよ。
例年であれば、収穫されたもののうちの9割以上のおコメが2等以上の
品質であるのに対して、19年に限っては 収穫されたおコメのうちの
じつに7割が 規格外の等外の品質でしかなかったのですから。
もちろん農家さんにとっての報酬であるおコメの価格に直結します。
簡単に・わかりやすいように説明するために・・・たとえば100俵の
おコメを生産するとして、その場合の1等と2等のおコメの価格を平均
して1俵1万円とし・3等と等外のおコメの価格を同じく平均して
1俵5千円であると 仮に仮定すれば・・・
平年では 90俵90万円 + 10俵5万円 の合計95万円
の収入であるのに対し、19年では
5表5万円 + 95表47万5千円 の合計53万5千円
と、平年のほぼ半分の収入しかないことになってしまうのです。さらに
もちろん、これは大規模な農業者ほどダメージが大きくなり・・・
1000俵であれば、平年950万円のところが19年では530万強。
2000俵であれば、1900万のところが 1060万円。
たとえば10000俵近く出す集落営農などであれば、
9500万円のところが、5300万円
にしかならないわけです。それでいて機械の償却費の代金や生産資材さ
らには地代や人件費などの経費は同じなのですから、こんなに怖い話っ
てないですよ。
ということで今回は、なんとか台風の強烈な風雨をのりきったと思った
のもつかのま、その直後にやってきた台風後の長時間の吹き返しによっ
て大規模な減収を被ったという、台風常襲地であっても予想もつかない
ことも起こるという 自然のもたらした脅威というべき平成19年7月の
台風4号に関する怖い実例のおはなしでした。
熱風対策につづく。
フィリピンの東海上を北西に進み、その後 東に進路を変えて
九州・四国・東海・関東地方の太平洋沿岸を沿うように東に進
んだ 平成19年の台風4号・・・ちなみに高知県土佐清水市
付近をを通過してのが14日、和歌山県串本町付近を通過した
のが15日という[まさに現在の11号と同じ時分にやってき
た]強烈すぎる被害をのこした7月の台風でした。
「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」