コロナウィルスの感染者数が増大するに伴い、職場からは会食が消え、会話も消え、そしてテレワークなど職場に出勤しない人も出てきている。それは街の風景も同様で、人通りも少なくなり、そのほとんどがマスクをしている。たまに大声で会話しながら歩いている人がいると、皆、不快そうにそれを避けて歩く。ちょっと前までは微笑ましくみえた小さい子供と親とが会話している姿もうとましく思える。このようにウィルスは人と人とを分断する。ただその一方で、社会全体が感染と戦うためには、大きな意味での連帯を必要とする。ウィルスは自身で感染するのではなく、感染させるのはあくまでも人である。そして人から人である限り、その感染は、社会階層をたやすく乗り越えていく。
近いうちに緊急事態宣言がでるが、どこくらいの範囲で営業活動が自粛されるかが成否を決める。強硬措置は法的にとれないので、同調圧力がかかる程度が勝負である。客足が激減している外食や遊戯施設はそうでなくても閉店するかもしれないが、問題は、「巣ごもり消費」とかと称して、売り上げが好調という宅配ピザや弁当屋である。こうした業態がもし営業を続けるとしたら、原材料の配送や調理なども含めて多くの人が動かなければならない。営業すれば儲かるからというのは経営者のエゴ、そして外出自粛期間も美味いピザや弁当を食べたいからというのは消費者のエゴではないか。これでは、感染防止も中途半端になる。想像してほしい。誰でも命は惜しいはずだ。レジのおばさんのウィルスが第何次感染で政財界の大物に到達する可能性だってある。結果的に営業を閉めない弁当屋やピザ屋はさんざん非難された興行スポーツや劇団の業者と同じことをやるわけである。感染拡大に貢献するという意味で。
また、所得補填がないかぎり、非正規労働者は働かざるを得ないという訳知り顔の講釈をする人もいるが、雇用主が営業しなければ非正規労働者は休むしかない。所得は別途補填すればよい。
とにかく緊急事態宣言のでているうちは、多少の不便を忍んでも外出しないこと…ウィルスに打ち勝つにはこれしかないし、もしそれができなければ、現在のおヨーロッパのような「この世の地獄」が出現するだけである。
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