「有名であること」の価値
世の中、何が変わったかと言えば「有名であること」の価値が昔よりも大きくなったことではないのだろうか。背景はいろいろある。昔のような地縁血縁共同体のようなものがあれば、英名と悪名の差異は明確で、人々は名を上げること以上に恥をさらすことをなによりも怖れた。それがそうした共同体が崩壊し、一人一人が群衆の海に浮かんでいるような世の中になれば、栄誉と恥の区分もあいまいになってくる。人間には多かれ少なかれ自己顕示欲があるが、こうなると、とにかくどんな形でも有名になりたいという人もでてくるだろう。さらに言えば、現代では「稼ぐが勝ち」といった価値観も有力だ。ネット社会では、とにかく目立てば稼げるという場が増えてきている。ユーチューバーなどはその典型であろう。今度の都知事選では最多の候補者数だという。全員が全員、売名目的ではないのだろうが、供託金を払えばポスター掲示やテレビ出演の場を与えられる選挙と言うのは売名に最適なのかもしれない。都知事選にかぎらず、これからは様々な選挙で候補者の乱立と言う現象がおきてくるのではないか。