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テーマ:最近観た映画。(38866)
カテゴリ:シネマ感想:た行
以前に、この映画の予告編を見て「これはすごいテーマの映画だ・・・」と驚愕。見に行こうと思って上映スケジュールを調べるも、公開日がプラハに旅立つギリギリで微妙な感じ・・・。しかしチェコで韓国映画が見られるわけもないので、万事を繰り合わせて行ってまいりました。 公 開直後の日曜日、新宿武蔵野館の午後1時台の回・・・満員、立ち見でした!共に行ってくれた友人あみーごと浦鉄さんもビックリの盛況っぷり。上映一時間前 にチケットを購入し、整理券をもらったところ70番台で、「三人一緒に座るのは無理かも」と思っていたけど中央あたりに無事席をゲットすることが出来まし た。 客層は韓流好きっぽいオバチャン(コン・ユのファン?)、社会派の話題作は押さえておくという感じの中年男性、福祉を専攻していそうな学生さん、聴覚にハンディキャップのある方など多岐に渡っていました。2時間を越える上映時間なので、直前にお手洗いを済ませていざ鑑賞。 鑑賞直後の感想は「ううう、重い・・・。でも見て後悔はしない映画だった」。18歳以下の鑑賞は出来ない作品なんだけれども、それも納得。テーマがテーマなだけにトラウマが残ってしまうような気がする。 な んといっても加害者側の卑劣さ、狡猾さに目眩がする。養護学校の先生(!)という、子供たちをケアする側にいる人間が、聴覚にハンディキャップがあり手話 でしかコミュニケーションを取れない子供、その中でも孤児だったり経済的な事情がある子供を狙って性的虐待をするなんて・・・もう万死に値する、これこそ 人間の姿をした鬼畜の所行なり・・・である。 子供たちが被害に合うシーンは、喉や胸が焼け付き、何か重〜いものが詰まって飲み込めない不快 感を感じる(この胸のもたれた感じは、終演後しばらく持続します)。特にトイレに逃げた子供を校長が探すシーンは、近年に見たどの映画よりも恐ろしくて 「ヒッ!!!」と思わず声を漏らしてしまうほど衝撃だった・・・。 これがアメリカとか遠い外国で起きた事件なら「ひどい話だけど、外国ならそんな事件が起こっても不思議ではないのかな・・・」という気がするけど、お隣韓国で最近起きた実話というところが、更にヘビーさを増して迫って来るのだ。校長の顔も普通に会社や通勤電車内にゴロゴロいそうなオッサンだしさ・・・。 しかし校長が双子ってのが、後の法廷シーンで伏線になるとは思わなかった。ここはリーガルサスペンス的に「真実はひとつ!」という感じがして、なかなかグッとくるシーンだったと思う。 あ と、この映画もやはり脇役が絶妙だった。学校職員の女(校長の愛人で、子供を洗濯機に入れて虐待していた人)もキツネに憑かれたような、妙なプライドの高 さを感じさせる高慢顔は憎たらしさマックスで最高だったし、主人公のオカン役の人は演技、衣装ともに女優さんとは思えない韓国のオバチャンっぽさ(褒めて ます)。パンチパーマ風ショートにヒョウ柄と思われるプチスカーフを太い首に巻いていて、こちらも最高でした。「母なる証明」や「アジョシ」でも思ったけど、韓国映画の脇役俳優のクオリティー、間違いなし。 さ て、ここまで書いてやっと主役のコン・ユ様ですが、人の良さそうで地に足の着いたイケメンという感じで好感度高しである(前述のオカンから、どうしてこん な息子が・・・という気もするが)。奥さんに先立たれ、単身赴任して小さな娘と離れて暮らしているという設定で「学校の子供たちの手を離すことは、実の娘 の手を離すことと同じ」という信念のもとに告発を助ける美術教師役です。私に子供はいないけど、自分の子供に対して恥じることのない人間でいたいという気 持ちは判る気がする。なんとなく日本でリメークするならこの役はイノッチがいいんじゃないかな、という気がした。 コン・ユ様と共に、子供た ちの告発をサポートする人権運動家の若い女性(チョン・ユミ)もなかなかよかった。主人公が偶然知り合ったのが人権センターの職員てのがちょっと出来過ぎ な気もするけど、彼女の一本気な正義感に助けられる場面もあって、この映画の救いでもあったように思う。しかし、韓国映画のヒロイン登場シーンって、何か トラブルが起こって「ちょっとアンタ!ふざけんじゃないわよ!」って主人公につっかかる・・・みたいなのが多い気が(by浦鉄 改め アントワネット浦安)。確かにそうかも〜。 しかし性的虐待を告発するということは、ものごい勇気と労力がいることである。法廷に立って被害の状況を大勢に事細かく説明しなければならないし、弁護側の意地の悪 い質問にも答えなければならないし。これだけ大変な目にあったし、子供たちもコン・ユ様も人権センター長も頑張って告発しているんだから、きっときっと制裁が下されるに違いない・・・と固唾を飲 んで見守るも、「えええ・・・」という展開が待っているし。重い・・・確かにとてつもなく重いんですが、映画として凄く良く出来ていると思いました。クレ ジットが流れ終わった後の文字を見るか見ないかで、映画の印象が変わって来るので、最後まで席を立たないほうが良いかと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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