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テーマ:障害児と生きる日常(4431)
カテゴリ:自閉症関連
ジャーナリスト・永井多恵子 『夜中に犬に起こった奇妙な事件』
■自閉症者の優れた面を知る
現在日本では、 自閉症と認められる人が100万人前後いる、といわれている。
主に、対人関係でのコミュニケーション能力が難しく、 その原因には未解明なことが多いためか、誤解を生むことも多い。
著者のマーク・ハッドンはイギリスで 子供向けの作品を創作している作家で、 自閉症者と一緒に働いた経験から本書が生まれた。
この本を素材にして創作された ロンドン・ナショナルシアターの舞台作品が今年4月、 最高賞のオリヴィエ賞を受けた。
自閉症者がどのような思考回路を持つか、 また、その数字に対する天才的なひらめきなど、 演劇を通じて多くの人々の目を開かせ、感動を与えたのだ。
主人公の少年は 夜中に隣家の犬が庭仕事で使う道具で殺されているのを見た。
そして誰が殺したのかを知りたいと思ったところから話は始まる。 彼の思考方法は例えば以下のようだ。
警官「きみは誰があの犬を殺したのか知っているかね?」 少年「いいえ」 警官「きみはほんとうのことを言っているのか?」 少年「はい、僕はいつもほんとうのことを言います」 少年は嘘はつかない。 それは正直だからというわけではなく、 少年には嘘をつくことができないのだ。 少年は小説が嫌いだ。 なぜかというと小説には実際に起こらなかったこと =嘘が書いてある、 だから不安でこわくなる。 少年はものごとがきちんと秩序だっているのが好きだ。 得意なのは数学。 問題を解くのは難しくても最後には明快な答えがある。 そしてコンピューターが好きだ。 来月には数学の上級試験を受けることになっている。 「明快な答え」を求めようと少年はついに犯人にたどりつくが、 それは彼が予想もし得なかった事実だった。 そして彼は試験に最高得点で合格する。 子供向けの本だが、 自閉症者の特異な思考と同時に優れた面を知ることができる。 (マーク・ハッドン著、小尾芙佐訳/早川書房・1785円)
◇ 【プロフィル】永井多恵子 ながい・たえこ NHK解説主幹を経て平成17~20年、NHK副会長。 現在、せたがや文化財団理事長。[産経ニュース]
真実は一つと単純明快な答えが出ると、 偽りのない真実は一つなので、 回りくどい解き方や嘯きには不甲斐ないというよりは、 そういう思考と辿れないのが、 息子を育てていても感じたものです。
自閉症を、 ちょっと遠巻きに読んでみるにも興味深い作品ですね。 ふと気がつくと、86万アクセス越えております。 いつもご訪問にコメント恐れ入ります。☆彡
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