■昨日(6月12日)、全日本大学野球選手権の大会5日目は準決勝の2試合が行われた。第2試合のカードは優勝候補の筆頭・東洋大と、最近メキメキと力をつけてきた北東北の優勝チーム・八戸大の対戦。
※昨年の同大会では同じ北東北リーグの富士大が準優勝を果たした。
八 010 000 000 =1
東 100 002 02X =5
(八)●塩見-小林、(東)○乾-鹿沼
■ボクは過去の埼玉高校球児たちの活躍ぶりを見ることで、この試合を十分に楽しめた。
リーグ戦を通じて調子の上がらなかった東洋大の乾真大(4年、東洋大姫路高)がこの試合は好投(5回2/3、奪三振9、被安打3)。東洋大が優位に試合を進める中、勝利を決定づけたのは8回に代打で登場した鮫島勇人(3年、浦和学院高)の一発だった。二死二・三塁のチャンスで、小林寛(1年、光星学院高)の変化球(118km)に上手くタイミングを合わせて放った打球は左中間を超える二塁打になり、走者2人が生還し5点目を挙げた。
鮫島は高校時代、赤坂和幸(現・中日)とともに浦和学院の中軸を務めていた打者。ボクにとって、高校時代に見てきた選手の(大学での)活躍ぶりを見るのは嬉しいことだ。一方、八戸大の主将・久保一等(4年)も元は埼玉高校球児。こちらは聖望学園高出身。
■鮫島勇人と久保一等。お互いに(埼玉県内の)強豪高出身だから何度も対戦しているはずだけど、ボクが憶えているのは2006年4月29日に行われた春季県大会3回戦、浦和学院高vs聖望学園高戦のこと。
浦和学院 000 010 202 =5
聖望学園 000 004 102X=7
最終的には聖望がサヨナラ勝ちしたこの試合、主役を演じた(演じてしまった?)のは久保だった。
9回表、スコア3-5で、2点差を追う浦和学院が攻撃の時にドラマが起きた。一死二・三塁でチャンスを掴んだ浦和学院、次打者の当たりはレフトを守る久保に飛んだ平凡なフライ。だがタッチアップを焦った久保が後逸。ボールは久保のグラブの上を行き、転がってフェンスまで達した。走者2人が生還し、浦和学院は労せず5対5の同点に追いついた。
レフトのポジションでうつむき、そして呆然と立ちつくす久保。実はその打球を放ったのが浦和学院の3番・鮫島だった。聖望学園、勝利をほぼ手中していたが、するりと手から滑り落ちるかのように見えた。ゲームは振り出しに。
その裏、聖望の攻撃。一死一塁で久保に打順がまわった。汚名返上のチャンス。浦和学院の金井投手が投じた2球目、久保は狙いすましたようにバットを振り切ると、打球はレフトスタンドに飛びこんだ。サ・ヨ・ナ・ラ・ホ・ー・ム・ラ・ン。打った瞬間、それとわかる豪快な当たりだった。
久保は袖で涙を拭いながらダイヤモンドをまわった。そしてホームベース付近で待ち構えるチームメイトたちの歓喜の輪の中に入り、べースを踏んだ。
楽勝のはずが、鮫島の平凡なフライを後逸し同点にしてしまい、その直後に自分でホームランを打って勝負を決めた。終わってみれば、まるで久保の「自作自演」のようなサヨナラ劇だった。
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