■今から8年ほど前(2005年頃)、ボクは某大の公開講座に毎週土曜日、約3か月間にわたり通っていた。講座名は「団塊世代の定年後」だった。
たしか第3回目の講座だったか、この時のテーマは「団塊世代と年金」。その講座は、こんな内容だった。(数字は当時)
講師役の某教授は、「現在、政府が国民に対して支払い(給付)を約束している額の合計は800兆円。そのうち、500兆円も不足している。じゃぁ、この不足分をどうやって補うか? ポイントは2つあって、みなし掛け金建てへの切り替えと、国民にとって公平感のある消費税UPが必要である」と話した。そしてその後に、「でも年輩の女性は消費税という言葉に拒否反応があるんですよね」と付け加えた。
■ボクは団塊世代ではないし、仕事の必要があって自主的に通学していたのだが、年金なんてまるで無知な若造に過ぎなかった。だから講師の話に「そうか、そうか」と頷くしかなかった。
そして講義が終わり、大学近くの喫茶店でお茶を飲んでいた。すると隣のテーブルで、年輩の女性二人が熱く年金について語っていた。どうやら同じ講座を受けていた人たちのようだった。
A「結局さぁ、年金の問題を話し始めると、その原因のひとつは出生率低下ていう話になるのよ」
B「そうそう」
A「少子化が年金問題の原因だ、みたいなことを男たちは平気で言い出すわけ」
B「そうだよね。男社会だから、そんな声が大きいよね」
A「でもさ、いま政治やってる男たちだって女から生まれたんでしょ。子供を産むこと、育
てることののたいへんさを男たちは分かっていないのよ」
B「そう!」
A「こんな時代に女が安心して子供を産めると思う? 産めるわけないのよ。もっと出産
や子育てをきっちりサポートしてくれる仕組みがないと出生率1.29とか1.28が低いと
か、数字だけ見てものをいってる場合じゃなくなるわよ」
■なるほど、年金の先行きを語る前に、年金不信や高齢化・出生率低下があり、そして
それ以前に女性に対しての出産・育児へのサポートシステムが必要、ということか。
先生の講義より、この女性2人組の会話のほうがインパクトあったなぁ。
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この2人の声が国会に届いたか(笑)、その後、2007年に少子化対策担当大臣が内閣府に設置された。現在は、それを森雅子氏が務める(14代目)。ただ、これまでの大臣たちにいかほどの成果があったのか、不勉強なため、ボクはよく知らない。
先ごろ成立した特定秘密保護法案の担当大臣が、この森氏だったことはよく知っているけれど。