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あま野球日記@大学野球

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2013.12.14
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テーマ:日本野球史(134)
カテゴリ:世相

■1972年、時の総理・佐藤栄作が退任を決意し、その会見に臨んだ6月17日のことである。会見の冒頭、佐藤はこう述べた。
「テレビカメラはどこかね。新聞記者の諸君とは話さないことにしているんだ。ボクは国民に直接話したい。新聞になると、文字になると、違うからね。偏向的な新聞は嫌いなんだ。帰ってください」。

同年3月に暴露された「沖縄密約」や「ニクソンショック」などが起因し、佐藤の7年8か月にわたる長期政権がついに幕を下ろした。そして、佐藤が当初意図していた福田赳夫へのスムーズな政権移譲は不可能になり、代わって首相の座を射止めたのは、田中角栄だった。

 

 

 

■田中が首相に就任するとすると、「今太閤」「庶民宰相」と称賛され、国民の評判は上々だった。そして、衆議院選に初出馬の時に地元新潟で演説した「三国峠をダイナマイトでふっ飛ばせば越後に雪は降らない。その土を日本海に運べば佐渡と陸繋ぎになる」、その言葉を具現化した『日本列島改造論』をぶち上げた。

田中の政治的考え方の根本には、都市と農村、太平洋と日本海側の格差をなくす、があった。しかし、この『日本列島改造論』は地価高騰を生んだ。また、海外からは石油危機が襲い、日本国内は「狂乱物価」に揺れた。

そもそも石油危機は、OAPECとOPECの産油国がアラビアンライト原油の価格を値上げしたことに始まる。価格上昇だけでも大打撃なのに、アラブの友好国」以外への輸出削減措置も打ち出したものだから、田中政権は大いに慌てた。

日本はアラブの「友好国」なのか。それまで日本は、イスラエルを支援するアメリカに気兼ねして、アラブとの関係は希薄だった。



■アラブをとるか、それともイスラエルか。その時、田中は、石油を確保するためにはアラブ寄りに舵を切る以外にない、そう決断した。怒ったのはアメリカである。石油消費国は結束してアラブ産油国に対応しなければならないのに、日本だけが抜け駆けをするのか、と。
以下に『田中角栄』(早野透著、中公新書)から引用。

同年11月、キッシンジャー米国務長官が来日し、すぐさま田中との会談がセットされた。ここでの2人のやりとりが面白い。

キッシンジャー「いまアメリカは中東和平工作を進めている。日本がアラブ寄りに変わることは控えてほしい。無理をすると日米関係にヒビが入る」
田中「もし、日本がアメリカと同じ姿勢を続けてアラブから禁輸措置を受けたら、アメリカは日本に石油を回してくれるのか」
キ「それはできない」
田「それでは日本は独自の外交方針をとるしかないではないか」

後に、田中がロッキード事件で訴追を受けることになった時、ジャーナリスト田原総一朗は雑誌『中央公論』に、『アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄』と題してこう書いた。

「角栄が各国に外遊を重ねて展開した資源外交は、不遜にもアメリカの傘から抜け出ようとした反乱であって、その咎でロッキード事件で追い落とされた」という内容である。であれば、キッシンジャーに逆らった「石油危機」が、上記の場面にほかならなかった。 (
以上、『田中角栄』より)



■今日テレビを見ていたら、ある大学教授が、政治家のタイプをストックとフローの2つに分類して説明していた。ひとつ目は、福田赳夫のように「頭の中に引出しを無数に持ち、ひとつひとつの情報をその引出しに入れ、考えを醸成してから判断し行動するタイプ。つまりストック。もうひとつは情報の要点を頭に入れて、判断し行動するタイプ。これはフロー、つまり田中のことである。

田中は日頃から、陳情や官僚からの報告に対し、カード一枚に「○○の件」と書き、その理由を3つだけに絞り(4つ以上は要らない)端的に書くよう指示していたそうだ。そして、そのカードで得た情報を次々に頭の中に入れて行動をしていた。

ストックは判断が遅れて機を逃す懸念があるが、フローでは判断が拙速にならないか、その点が心配だ。どちらが良いというものではないが、キッシンジャーへの対応や、田原の書いた記事は、フローの長所と短所が端的に表れた事象だったといえまいか?

2年後の74年、田中は、金脈問題の追及を受けて内閣総辞職した。首相就任当時は「今太閤」「庶民宰相」と称賛されるも、最後は「闇将軍」と非難を受け、89年政界から引退、そして93年に没した(享年75歳)。


日本列島改造論.jpg






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Last updated  2013.12.15 00:00:57
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