■わが故郷の盛岡大附を応援するボクにとっては、4、5点失う覚悟を持って見始めた試合でした。しかし盛岡の三浦瑞樹投手は意外に好投し(失礼!)、中盤まで投手戦の様相です。
そして6回表、智弁の攻撃。四球で初めて先頭打者が出塁すると、守る盛岡にイヤ~な空気が流れます。それまで三浦がほぼ完璧に抑えていたのに、いよいよ試合が動くのか!と、そんな予感が脳裏を過りました。しかし次打者の送りバントを三塁手が好捕し5-4-3の併殺でピンチを断ったことで、流れはグッと盛岡に傾きました。
■ピンチの後にチャンスあり。この格言どおり、盛岡は直後の6回裏に2本の二塁打で1点を先制すると、続く7回裏も一死一・三塁のチャンスをつかみます。
この場面、守備側の選択肢は2つありました。ひとつは「内野前進でバックホームを狙う」、もうひとつは「中間守備で併殺を狙う」こと。智弁が選択したのは後者でした。しかし、打者・三浦瑞樹の放った打球はボテボテの二ゴロ、これでは併殺を狙えません。猛然とダッシュする二塁手は捕球後、懸命にバックホームするも間に合わず、盛岡にとって貴重な2点目が入りました。
■タラレバを言ってもしかたありませんが、もし智弁内野陣が前者を選択し、最初から前を守りバックホームを狙っていたなら、追加点を許す結果にはならなかったと思います。そして結果は違うものになっていたかもしれません。もちろんこれは結果論であって、智弁の「不運」と言うほかありません。
試合終了後、解説の前田正治さんは、しみじみとこう言いました。「守備は流れを変えるとよく言うけれど、その典型的な試合でした。(6回表の盛岡の守備、7回裏の智弁の守備を指して)これほど明確に守備が明暗を分けることは珍しい」と。
試合前、打撃戦でないと盛岡の勝ち目なしとボクは予想していましたが、まったく想定外の「守備の面白さ」を教えてくれた好試合となりました。
写真:NHK
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智弁学園監督・小坂将商というひと(人)。
(写真)勝利を決め、雄たけびを上げる盛岡大附・三浦瑞樹。
(写真)智弁バッテリーの敗戦後。松本竜也投手(右)と石田航大捕手。
(連続写真1)7回裏、一死一・三塁の場面で8番・三浦瑞樹の打球はボテボテの二ゴロ・・・
(連続写真2)二塁手が猛然とダッシュして捕球するが・・・
(連続写真3)全く間に合わず、追加点を許す。