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カテゴリ:書評
仕事を自分ごととして取り組む→休みの日にも勉強に励む→仕事の技量が向上→楽しくなる、という令和時代的な考え方とは大きく異なる仕事術をどう捉えるか。ある人は大きな嫌悪感を抱くかもしれない。私は好きだ。この考え方が大好きだ。結局のところ、自宅で過ごそうが仕事に励もうが同じ1分1秒。ならば自分の生業を充実させたい。そのためには勉強を深めていかなければならないことは当然と言えるだろう。賃金が発生しない休みの日にも仕事を生活の中心に置き、研鑽を積むことを良しとしない方も多いかもしれないが、本書でも語られる通り、それは仕事を「会社から命じられて行っている」と捉えているということなのだと思う。それもまたその人の考え方である以上尊重しなければならないのだろうが、仕事を、仕事人としての日々を充実させていくのだとしたらやはり自分の仕事にテーマを見出し、自分で深掘りしていく方が絶対に楽しい。本書は、このような考え方に対して「そうそう、そうだよね」と思える方にとっては最高に心地よい一冊と言えるだろう。 書籍として少し残念であったのはキヤノンの企業としての考え方、というよりは著者の考え方に終始しており、登場人物の少数のキヤノンのキーマンたちと著者以外についてはほぼ言及されず、モブとしての登場にとどまっている点、読み応えとしてはもう一つであった。キヤノンという大きな組織の中で著者がどのような位置付けであったのかが今ひとつわかりづらく、本書制作段階での著者のキヤノン電子社長という立場から足跡をダイジェストに振り返っているような構成であるから盛り上がりも特になく非常に平坦。サクサク 読めるが読後感には少しもやっとした感覚が残る、そんな一冊であった。 内容 85点 外装 60点 総合評価 145点/200点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.15 17:23:18
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