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駆け出し記者の一期一会

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2008年06月05日
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カテゴリ:音楽
6月3日の火曜日、文京シビックホールでの日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会。
指揮はペーター・ダイクストラ。弱冠30歳。オランダの新星である。
元天才ボーイソプラノとして、魔笛の子役やバッハのソロをこなし、
若くして名門合唱団の指導者に抜擢されるなど、才能あふれる新進指揮者だそうだ。

イケメンでオレ様な、まさに「のだめカンタービレ」の千秋様~みたいだって言うし、
「まだ日本では無名ですが、ここ数年で必ずブレイクしますよ。巨匠と呼ばれるようになります。
その彼の、指揮者としての日本デビューを目撃したって言えるんですよ、将来」
それが、どれだけ自慢になるのか知らないが、確かに、もう評価の定まったマエストロの指揮で
安心して聴いているばかりではなく、知られざる新しい才能の発見に立ち会うのも、
なかなかエキサイティングではないか?!

文京シビックホールに行くのも初めてだった。
元の文京公会堂の跡地に作られた区役所や文化施設の巨大な複合体が
東京ドームの隣にそびえ立つが、地下鉄春日駅に直結しているので外観を見ることなく上階の
「クラシックコンサートを中心とした音楽イベントに最適な1,802席の大ホール」へ直行。

こんなにガラガラのホールは初めて・・・3分の1ぐらいしか入っていない。大丈夫なのか?

今日のコンサートは、今年で4年目を迎える目白バ・ロック音楽祭の新企画なのである。
こじんまりした教会や歴史的名建築での古楽の演奏という、これまでのコンセプトとは違って
大ホールでのオーケストラの演奏という、むしろ普通のタイプのコンサートに挑戦したわけ。
そりゃ、1,800もの座席を埋めるのは大変なことで、どこのオーケストラも苦労しているが、
やっぱり集客って大変なんだなあ。。
これが「リスクを負う」ということだ・・・疎らな客席を見て思った。

さて、千秋様、いや、ペーター君登場。
いや~身長2メートル9センチ!とは聞いていたが、本当にデカイ。 
舞台の袖の出入り口に頭が引っかかるので、少し背をかがめて通過する。
指揮台なし。なくてもじゅうぶんお互いが見える。
客席から見ても視界が遮られるほどの上背。存在感ありすぎ。
金髪の端正な顔を昂然と上に向けてから深深とお辞儀する。
(そんなに背が高いんだから上を見なくてもいいよ!)
お辞儀のあと、客席に向かって苦笑いのようなしかめっつらでウンウンとうなずく。
やんちゃ坊主の照れ隠しという感じ。30歳になるかならぬかという若さでは
演奏するオーケストラも聴いているお客もほとんどが自分より年上だもんね。
空席ばかりの大きなホールを目の前にしてどう思っているのだろう。

ここで、東響の音楽監督スダーンの日本デビューでの中村紘子との共演の話を思い出した。
「当時、僕は日本ではまったく無名だったけど、ヒロコのおかげで東京文化会館が満席だったよ。
彼女はもう有名だったからね」
と言いながらマエストロは、当時の自分の写真を見て「ベビーフェイスだね!」と笑ったものだ。

確かに、自分が有名であるか、共演者が有名でないと、なかなかお客も来ないわねえ…
なんだか申し訳ないが、聴きに来たお客が責められることもないさ。
とにかくめげずにがんばって! せっかくの日本デビューでしょ!
若武者が日本に乗り込んで「たのもう!」と言っているのだ。
いつもより大きめに拍手して応援する。

今夜のプログラムはワーグナーとシベリウス。
どちらもペーター君の好きな作曲家らしい。
また、シベリウスの全交響曲を日本で初演した歴史を持つ日本フィルのオハコでもあろう。

しかし、「ワルキューレの騎行」に「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲に
「タンホイザー」の序曲の3つ、というのはちょっと多すぎではなかったか。
最初の休憩までに、指揮者が何度も出たり入ったりしすぎ(毎回頭をぶつけそうになりながら)。
2曲目の「トリスタンとイゾルデ」の静かなエンディングのあと、しばらく沈黙が続いたら、
やおらペーター君が「終わったんですけど」と言うように振り向き、
お客はあわてて拍手し始めるという、けったいなシーンもあった。

1、2、3、4と几帳面に拍子をとる感じの指揮である。
小さく抑えるところでは、長身を折りたたむように腰を曲げ、
クレッシェンドになると、上向きの左手を震わせて「もっともっと」と煽るのだが、
どうもクライマックスのタイミングがいまいち合っていない気がした。
概してあっさりしており、シベリウスの交響曲をもっと朗々と歌いたそうな日本フィルとしては、
やや欲求不満のまま次へ行かざるを得なかったのではないだろうか。
円熟のマエストロのように、指や腕の動き一つ、目くばせ一つでオケを自在に鳴らす
というわけには行かないけれど、スケールの大きさは感じられた。
一生懸命振っている若者にオーケストラも応えようとはしていた。

あとで聞くと、練習は一日だけでリハ本番だったそうだ。
それにしては、まずまずの出来だったのかもしれない。
「とても協力的なオーケストラで、いいコラボレーションだった」
とペーター君は全然がっかりした様子もなく、楽屋前でにっこり爽やかに答えてくれた。
見上げるばかりの相手に向かって、お客が少なくて残念だったとを告げると、
「うん、そうだね。なんか別のコンサートもあったみたいだね」
とケロッとしている。
そうか。これぐらいの強さがないと、才能一つで世界を渡っていくことはできないんだろうなあ。
すっかり着替えたポロシャツ姿は、顔の汗も相俟って試合後のスポーツ選手のように見えた。
いや、確かにハンサム♪

ペーター君、明日は東京カテドラルでバッハの合唱曲を指揮する。
目白バ・ロック音楽祭の今年の目玉の一つなのだ。
「東京カテドラルは相当埋まりそう」と筒井氏が笑顔で言った。
このバ・ロック音楽祭の本来の持ち味である「教会でのバロック音楽」である。
ペーター君の経歴上もきっと得意分野に違いない。
「6日も楽しみにしてますよ」と愛想を言ったら、
「おおぜい友達連れてきてね」と答えた。

若武者の修行時代。世界行脚の日本編である。

















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最終更新日  2008年06月06日 15時03分21秒
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