宿の玄関に腰掛けて靴紐を解き、部屋に案内してもらおうと、ついさっき脇に置いたザックのほうを見ると、そのザックがありません。09月22日、
「北陸縦断徒歩旅行10日目」に泊まった「小見旅館」でのこと。
うしろにいる宿の女将さんを振り返ると、ランドセルを担ぐ1年生のように、ザックを背負っています。女将さんは身長150cmくらいで細身。あとで知ったのですが、昭和12年生まれ。客の荷物を運んでくれるつもりのようです。
70歳を過ぎている小柄な女性に重い物を持たせるわけにいかず、「荷物は自分で持ちますから・・・・」と言ったのですが、女将さんは階段を上り始めてしまいました。ザックの重さでひっくり返らないか、こちらはヒヤヒヤ。
こんな調子で、お茶をいれてくれたり、夕飯の話し相手をしてくれたり・・・・、あれこれ世話を焼いてくれました。明朝出発の際、お土産に「餅丸長者」まで持たせてくれました。「小見旅館」、古くてあたたかい宿でした。