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テーマ:ミステリはお好き?(1490)
カテゴリ:Mystery
母の遺言状公開に立ち会うため、3年ぶりに生家「永劫館」に帰還したヒースクリフは
死の瞬間、目を合わせた者とともに生前にタイムリープしてしまう「道ずれの魔女」リリィと出会う。 やがて館で起こる密室殺人。 鍵のかかった部屋で、ヒースの妹コーデリアが首を切られた死体となって発見される。 リリィもまた、何者かによって殺されては時間遡行を繰り返しているのだが。 殺人犯を見つけるためにヒースクリフは魔女と共に「死に戻り」をするのだった。 しかしかつてヒースクリフの父が縊死した案件を他殺であると主張する名探偵がじも介入し、事件は混迷の相を呈してゆく。 ヒースクリフが時空を超えて観測したのは如何なる意外な真相であったのか.......... ------------------ 放蕩息子の帰還からの密室殺人と魔女との時間旅行。 ゴシックロマンめいた舞台設定をラノベ風に描いた特殊設定ミステリで楽しく読めた。 「嵐が丘」やブラウン神父もの、ファイロ・ヴァンスものへのオマージュ、あるいは皮肉を思わせる登場人物名とかに遊び心を感じる。 それでいて、それら人物、物語の展開の描写にほぼ無駄はなく、伏線回収の場面になるとそういう意味があったのか、膝を打ちたくなった。 事件解明の推理のロジックも腑に落ち、タイムリープの特殊設定ならではの犯人像で納得できる。 思考のピースを当てはめていけば、トリックはわからなくても犯人像は見えてくる。 (限定された時間内で犯行の機会があったのは誰か) ミステリー第一作にして、難解煩雑になりがちなタイムリープものを、わかりやすく、面白く読ませる作者の才気と筆力に脱帽。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.09.03 13:58:45
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