|
テーマ:猫のいる生活(136027)
カテゴリ:カテゴリ未分類
家に帰ると、猫が言葉を話すようになった。
「おかえり。このところ、いつも、帰りが遅いなあ。」 「・・・。」 「ポトスが、2,3日、水をもらっていないと言ってたぞ。」 ネクタイをはずすと、キッチンの椅子に座った。 「このところ、食事がまずいぞ。ペットだと思って手をぬくのはやめろよ。」 猫は、こっちを見ている。 「贅沢な猫だなあ。」 「食事は、文化なんだぜ。 卵料理のような単純なものほど、センスがいるんだ。 ハムエッグは、ベーコンを先に油気がなくなるほど、焼くのが、コツだろう。 そのあとに、ゆっくりと卵を落とすんだよ。 卵は半熟ぐらいで火をとめろよ。 人間のくせに、そんなことも知らないのか。」 「・・・・。」 「それから、スクランブルエッグは、フライパンを熱くしてから、バターを溶かして、木のシャモジか、ヘラを使えよ。箸ではだめだぜ。うまく、いかない。」 「うるさいなあ。ペットフードじゃないだけ、ましだと思えよ。」 猫は、じっとこっちを見る。 「だから、娘に嫌われているんだ。このところ、話もしてくれないようじゃないか。」 「・・・・。」 「人生は、孤独なんだ。はやく、気づけよ。」 猫は、小さな欠伸をした。 友人は、深夜の酒場で、 携帯の中の猫の写真を、つぎつぎ見せながら、話をつづけていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|