1日を9回も繰り返すという「体質」を持つ久太郎少年。この体質が発現した運命の正月、事件は起こった。 祖父の渕上零治朗が繰り返す度に殺されてしまうのだ。久太郎は祖父を救うため毎回手を尽くすが、それでも殺されてしまう。果たして犯人は誰なのか、そして祖父を救うことができるのか?
昨日、買って一気に読んでしまいました(笑)
この作品は本格ミステリにSF的な要素を加味した西沢先生お得意の「SF新本格」の作品ですが、これは正に傑作でした。
奇抜な設定を上手く生かした上で更に終盤での大どんでん返しを用意する手腕には脱帽です。
1日を繰り返すという設定自体はドラマ等で数回目にした事がありますが、その調理の仕方が過去に目にした作品以上に洗練されていて結末には感動すら覚えましたが、後日談は少し不要だったような気もしますね。
密かに、この作品に登場する久太郎少年の兄が「タック」シリーズにゲスト出演していたりするのも楽しいですね。
流石に西沢保彦の代表作の筆頭に上げられるだけはありますが、この作品を更に超える「SF新本格」を期待したいと思います。