土井超音波研究所の地下に隠された謎の施設。絶対に出入り不可能な地下密室で奇妙な状態の死体が発見された。一方、数学者・小田原の示唆により紅子は周防教授に会う。彼は、地球に帰還した有人衛星の乗組員全員が殺されていたと語った。空前の地下密室と前代未聞の宇宙密室の秘密を暴くVシリーズ第9作。
ほぼ昨日1日で読み終わった「V」シリーズ第9作目です。
今作は7作目の「六人の超音波科学者」の直接的な続編で時間設定も前回の事件から1週間程度後と非常に近く、前作で残された謎に挑むという趣向です。
物語としては「V」シリーズの全貌が明らかになりつつあるというか、こういう方向に話が進むのかという予想外の読み応えがありましたし、ある短編が想像以上に話に絡んで来ているのも意外でした。
ここら辺が最終巻にどう絡んでくるか分かりませんが、何らかの影響はあるのではと思います。
そういう意味でシリーズとしての盛り上がりや話の繋がりは「S&M」シリーズよりも断然凝っていて好印象ですよ。
ただ、肝心の密室自体は非常に微妙でした・・・。
メインと言える地下密室は森博嗣らしさ溢れる密室ということで久々に壮大なスケールで来たなという感じでしたが、もう1つの「前人未到の宇宙密室」は、期待外れと言うか、それ以前の問題でした・・・。
清涼院流水さんの「コズミック」に登場したスペースシャトルの密室を連想したのですが、こちらは流水大説ならではの馬鹿トリックという意味で納得できるのですが、今作は森博嗣さんが書いているだけに大いに期待を裏切られた感がありました。
とはいえ、全体的な雰囲気や戦闘シーン(笑)とかは嫌いではないので、ある程度以上に満足はできました。
意外な地味キャラが活躍したのも嬉しい限りですw
あと、今作のタイトルの意味も比較的分かり易いのではと思います。
あと、何度か書いてきた「V」シリーズ全体の秘密は、完全に当たったと言う手応えがあります。
むしろ、これで全く違う仕掛けがあったら大ショック+大感激ですがww
続けて「赤緑黒白」を読みます。