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2008年02月07日
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カテゴリ:文芸評論
邪悪で、爽快で、かつ、温かい

舞台は大きな旧家。
当初、その家をしきりに調べている。
また、数世代にわたる、家系にもこだわっている。

読み進む中で、この様な事には、あまりこだわらなくても良いじゃないか、と思ってしまう。
しかも、思い出したくも無い過去もある様なので、その思いは尚更だ。

しかし、物語が終盤に差し掛かると、蜘蛛の糸の様に、複雑に絡み合った謎のすべてが、一本の線で結ばれる。
その内容は、一面では壮絶ではあるものの、温かく包み込む様な結末に仕上がっている。

物語の本質は、けっして、ほのぼのとしているばかりではない。
むしろ、人間の欲望の、かなり邪悪な面が渦巻いている。
しかし、それらが、爽快な結末にまとめられている。

本書は、温かい結末の、まとまりの良さが光る。
そこに至る、スリルも、適度に盛り込まれている。

読後の余韻は、すこぶる良い。





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最終更新日  2008年02月07日 02時48分33秒
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