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カテゴリ:文芸評論
醜く、そして、哀しい
自殺したはずの兄が、実は他殺の疑いが濃厚となった。 弟と弁護士が、真相を暴くべく立ち上がる、という筋書きの物語。 物語中では、既に、多くの人間が死んでいる。 それらは他殺の疑いが強く、もし、そうだとすると、犯人となるべき人間は、多くはない。 ところが、物語の構図は、非常に複雑で、しかも、少々、奇想天外なものだった。 人が人を陥れる。 それらが、多重構造をなしている。 物語の前半は、相手の言動や行動を、互いに牽制し合う、心理戦だ。 中盤から、後半にかけては、銃弾も飛び交う、実戦であり、さらに、何人もの人間が死ぬ。 特に、後半は、ダイナミックで、息をつく暇も無いくらいだ。 作品全体から感じる事は、人の欲望の醜さだ。 その醜さが、そこはかとなく哀しい。 遣り切れない、読後感だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年06月12日 02時28分56秒
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