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☆模倣犯 上下・宮部みゆき ・前畑滋子シリーズ ・小学館 ・2001年4月20日 初版第1刷発行 ・週刊ポスト 1995年11月10日号〜1999年10月15日号に連載(加筆改稿) ・第55回毎日出版文化賞特別賞、第52回芸術選奨・文部科学大臣賞、第5回司馬遼太郎賞受賞 前畑滋子 ルポライター。連続女性失踪事件を追っていた。そのリストの中の1人、古川鞠子が連続女性殺人事件の被害者だと判明した。 有馬義男 鞠子の祖父。72才。豆腐店を営む。 栗橋浩美 表向きは優等生で人気者、裏側では狡猾で意地の悪い本性をみせていた。29才。 ピース 栗橋浩美が「強いヤツ」として一目も2目も置き、決していじめたりからかったりもせず、積極的に近付いて仲良くしていた。 高井和明 蕎麦屋の長男。栗橋浩美、網川浩とは同級生。 高井由美子 高井和明の妹。兄の真実を訴え続けた。 第1部 数年前、首都圏で4人の幼女がさらわれ、殺害された事件があった。現在公判中のこの事件の容疑者は、殺害後、自分のした事を公にひけらかすような手紙を、マスコミ宛に書き、遺灰を遺族に送りつけていた。この手の犯罪者がとうとう出てきたことを社会は悟った。 1996年9月12日。 隅田川沿いにある大川公園のゴミ箱で、女性の右腕とハンドバッグが発見された。第一発見者は、早朝に犬を連れて散歩に来ていた塚田真一と、水野久美という高校生だった。塚田真一 は、佐和市で起きた教師一家殺害事件被害者の長男。事件当時はアルバイトで不在だったため、たった1人生き残った。現在は父の友人である石井夫妻に引き取られ、公園の近くに住んでいた。 ハンドバッグの持ち主は古川鞠子と判明、彼女は3ヶ月前から行方不明になっていた。犯人と名乗る男は鞠子の家に電話をかけ、電話を取った祖父の有馬義男に、新宿プラザホテルのフロントにメッセージを預けておくといい、時間を指定した。フロントに預けられていた手紙には「このホテルのバーで待て、8時に連絡する」とだけ書かれており、8時に電話で「鞠子の家に帰れ」と指示して来た。ホテルに手紙を届けたのは女子高校生だったという。 鞠子の家のポストには、彼が鞠子に買ってやった腕時計と「これで僕が本物だとわかったろ」と書いた便箋が入っていた。土にまみれた鞠子の遺骨は、犯人がテレビ局に電話で知らせて来た通り、引っ越しセンターの敷地内で見つかった。また犯人はホテルのフロントに手紙を届けさせた女子高生をも殺害。遺体は犯人が指定した場所で発見された。 捜査本部が置かれた墨東警察署巡査部長武上悦郎は、この3日間ほとんど不眠不休、食事もろくにとれない状態だった。 10月21日 大川公園事件発生以来、既に40日が経過していた。捜査線上に浮かんだ有力な容疑者と睨んだ田川一義にはアリバイがあった。伏せられていた筈の大川一義の存在を夕刊紙が嗅ぎつけた。大川は系列のテレビ局のインタビューに応じ、「容疑者T」としてテレビ番組に登場した。顔にモザイクをかけられ、音声を変えられた「容疑者T」は饒舌だった。取材を受けるまで、自分に一連の事件の容疑がかけられていることについては全く知らなかったと主張。インタビューに当たった記者が彼の前歴をあげ、彼の運転するレンタカーが大川公園事件発生の前後に公園の周囲で目撃されていることを持ち出した。すると、あれは冤罪で自分は罪をなすりつけられたのだと、一層激しい口調で喋り始めた。その興奮ぶりをカメラが逐一映しとる。インタビューの間、彼は絶え間なく貧乏ゆすりをしていた。膝に置いた右手の中指に、幅が1センチ程ある凝った細工の指輪をはめていた。彼は、その後も連日テレビや週刊誌を賑わせた。 そのTが報道特別番組に生出演することになり、その放送中に真犯人だと名乗る男から電話がかかって来た。真犯人は、Tを「自分では何も出来ないくせに、人の尻馬に乗っかって有名になろうとしている。どんな顔をしているのか、お茶の間の皆さんにも見せたい」といった。Tは真犯人の巧みな挑発に乗せられ、遂にカメラの前に顔を出した。 放送直後、大川公園の近くに住む住人から捜査本部に電話がかかって来た。「うちの子供が、車に乗った若い男に誘拐されかけたことがあり、その男かがTだ。間違いない」という。「この変態野郎」秋津刑事がテレビの中の田川に毒づいた。「貴様の首根っこを押さえてやる」 1996年11月5日。 大川公園事件は思いがけない展開を見せた。群馬県にある通称「赤井山グリーンロード」で、下り車線を走って来た車が、対向車路線を斜めに横切り、ガードレールを突き破り、崖下へ転落した。車は練馬ナンバーで、クレーンに吊り上げられた車の運転席と助手席から投げ出された男が1人ずつ、そして蓋が開いたトランクの中から背広を着た男性の死体が滑り落ちた。運転席と助手席に乗っていた2人は高井和明と栗橋浩美と判明。家宅捜索の結果、栗橋の部屋からは被害者の写真や、右手の部分だけ無い骨が出た。 1996年11月6日。 栗橋浩美と高井和明が大川公園事件と一連の殺人事件の犯人とされ、全てのキー局で番組を中断し臨時ニュースが流れ始めた。神無きこの国にこの瞬間だけは、神の鉄槌が振り下ろされた音を人々は聞いていた。これまで女性ばかりが狙われていた犯人がなぜ男性を殺害したのか・・・。栗橋浩美の周囲から事件に関与した証拠は出たが、高井和明の周辺からは決定的な証拠は出ない…。必死の捜索にもかかわらず、事故現場周辺からは事件の鍵を握ると思われる栗橋の携帯も見つからなかった。 第2部 栗原浩美と高井和明、浩美が「ピース」と呼ぶ男、3人の関係。そして、この連続誘拐殺人事件の犯人であるピースと栗橋浩美の過去の残虐な犯行が、2人の側から見た形で次々と明らかにされていく。主犯格のピースの指示通り、高井和明を犯人に仕立て上げる為に、栗橋浩美は和明を誘い出した。和明は浩美が犯行に関わっていることを承知の上で、彼を説得しようと、2人のアジトとしている山荘にやって来た。テレビのコメンテーターに「犯人は力の無い女性しか相手に出来ない」と指摘されたピースは、偶然出会った男性を言葉巧みに山荘に誘い殺害した。トランクに男性の死体を入れ、麻酔で眠らせた和明を後部座席に転がし、浩美が運転する和明の車は、赤井山の廃墟ビルに向かっていた。ピースの計画通り、そこで和明を自殺に見せかけ殺し、犯人に仕立て上げる為に・・・。廃墟ビルは、かつて浩美が衝動的に殺害した恋人と、偶然鉢合わせした女子高生を殺害して埋めた場所だった。 車の中で意識を取り戻した和明は必死に浩美を説得した。和明の説得に心を動かされた浩美が赤井山へ行くのをやめて山を下る途中、あの転落事故が起きたのだ。ピースは、テレビニュースで予定外の事故を知った。 第3部 これまでピースとして登場していた真犯人が、いよいよ網川浩二という本名で登場。兄の無実を訴える高井由美子を守り、代弁するヒーローとして登場。「真犯人X説」を掲げ、連日のようにテレビに出演した。真摯な姿勢。爽やかな弁舌。整った容姿と温和な笑み。どこでも彼は好印象を振りまいた。彼が書いた「もう一つの殺人」は、発売後1週間でベストセラーリストのトップに躍り出た。 得意の絶頂にあり、自分が書いた「シナリオの完璧さ」に酔いしれていた彼は、ひたひたと忍びる包囲網に気がついていなかった。やがて彼は、生放送のテレビカメラの前で、前畑滋子が投げかけた「挑発」に、まんまとはまり、自ら墓穴を掘った……。 同じ作者の「楽園」を読見始めたものの、「模倣犯」の続編と判明。ならばと、模倣犯を先に読み始めました。読んだことがあるような無いような…。とにかく長い。分厚い2冊を読み上げるのに、9日かかってしまいました。 10年以上も前となると、よほど印象に残る作品以外は忘却の彼方…。 自分自身の備忘録として、そして脳みその劣化防止のために、あらすじを書くことを、自分自身に義務付けていますが、この小説はとに角長いのです。その上話が入り組んでいて、あらすじを書くのに、又々一苦労してしまいました…^^; お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.02.12 19:53:45
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