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カテゴリ:社会・政治・時事
![]() よく売れたのも頷けます。 私たちが、いかに思い込みにとらわれているかに気付かされます。 誰もが読んでおくべき一冊です。 *** いったいなぜ、金持ちと貧しい者のあいだに分断が存在するという考え方が、 ここまで根強く残っているのだろうか。 わたしが思うに、人はドラマチックな本能のせいで、 何事も2つのグループに分けて考えたがるからだろう。 いわゆる「二項対立」を求めるのだ。 良いか悪いか、正義か悪か、自国か他国か。 世界を2つに分けるのは、シンプルだし直感的かもしれない。 しかも双方が対立していればなおドラマチックだ。 わたしたちはいつも気づかないうちに、世界を2つに分けている。(p.050) 著者は、「多くの場合、実際には分断はなく、 誰もいないと思われていた中間部分に大半の人がいる」(p.059)と述べています。 分布を調べ、2つのグループの重なりに注目するという姿勢は、とても大切ですね。 また、高いところから低いところを正確に見ることの難しさも、指摘の通りでしょう。 人々が「世界はどんどん悪くなっている」という思い込みから なかなか抜け出せない原因は「ネガティブ本能」にある。 ネガティブ本能とは、物事のポジティブな面よりも ネガティブな面に気づきやすいという本能だ。 ネガティブ本能を刺激する要因は3つある。 (1)あやふやな過去の記憶、 (2)ジャーナリストや活動家による偏った報道、 (3)状況がまだまだ悪いときに、 「以前に比べたら良くなっている」と言いづらい空気だ。(p.083) 良い出来事はニュースになりにくく、悪いニュースの方が広まりやすい。 悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らない。 過去は美化されやすく、「悪い」と「良くなっている」は両立する。 これらの著者の指摘も、大いに頷けます。 メディアはメディアで、わたしたちの恐怖本能を利用せざるを得ない。 恐怖本能を刺激することで、あまりにもたやすく、 わたしたちの関心を引くことができるからだ。 特に2種類の恐怖を同時に煽ることできれば、効果はバツグンだ。(p.137) あなたのもとには恐ろしい情報ばかりが届いている。 そのため、世界は実際より恐ろしく見えてしまっている。 リスクは「危険度」×「頻度」で決まるのであり、恐ろしさでは決まらない。 パニックに陥らず落ち着いて行動しよう、という著者の言葉には説得力があります。 メディアは過大視本脳につけこむのが得意だ。 ジャーナリストたちは、さまざまな事件、事実、数字を、 実際よりも重要であるかのように伝えたがる。 また、「苦しんでいる人たちから目を背けるのは、なんとなく後ろめたい」 と思う気持ちを、メディアは逆手に取ろうとする。(p.167) 「過大視本脳を抑えるには、比較したり、割り算をするといい。」(p.185) 数字を、それ単体だけ見て終わりにするのではなく、 全体の中で、その意味しているところを、正確に理解しようということでしょう。 「80・20ルール」も使えると思いました。 以上、本著で示された「分断本能」「ネガティブ本能」「恐怖本能」 そして、「過大視本能」の部分についてまとめてみましたが、 これ以外の、「直線本能」「パターン化本能」「宿命本能」「単純化本能」 「犯人捜し本能」「焦り本能」も、本当に納得できるものばかりでした。 何かの情報を得たとき、 「自分はその情報を正しく受け止め、判断できているのか?」と、 今一度、立ち止まって考えてみることの大切さを本著は教えてくれました。 様々な情報が飛び交う今だからこそ、価値ある一冊だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.01.26 11:50:48
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