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2020.05.09
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カテゴリ:社会・政治・時事
 不勉強にも、私は筆者の先崎さんについてどんな方か全く知らぬまま、
 タイトルに興味をひかれて、本著を手にしました。
 そのような事情から、本著を読み始めたとき、
 自分が勝手に抱いていたイメージと、随分異なる一冊だと感じました。

 先崎さんは、日本大学危機管理学部教授で、近代日本思想史を専門とする方。
 本著「まえがき」には、2017年は明治維新の勉強に没頭したと記されています。
 また、本著では「辞書的基底」をキーワードに、現在の社会現象を斬ってみるとともに、
 明治から戦前の日本思想を総動員して、時代を立体的に見てみるとも。

   ***

  各人が経済活動を自在に行うことで競争がおこり、
  新規の発想によって市場が活性化され、もうける者と損する者とがでてくる。
  これが自由主義的な発想です。
  たいする民主主義的な発想では、
  できる限り多くの者が平等であるべきだという方向性を持っている。
  自由主義と民主主義は本来、対立的な発想なのであって、
  どちらかに過度に傾斜すると、
  反対方向にこれまた過剰に揺り戻しがおこるばあいがあるのです。(p.31)

著者は、大正時代と現代は似ていると述べています。
行き過ぎた自由主義的政策の結果、犠牲者が出てしまったと。

  本来、政治とはあくまでも「悪魔との取引」にすぎないはずだ。
  政治とは善悪が混在し、清濁併せ呑む世界であり、
  純粋でも美しくもない行為なのであって、
  美の論理と政治の論理は区別する必要があるのだ、と。(p.37)

これは、「美と政治は切っても切れない関係にある」とした三島由紀夫に対し、
政治思想史家の橋川文三が「美の論理と政治の論理」という論文で、
両者の区別を強調したことについて、著者が述べた部分です。
強烈なインパクトと共に、頷ける内容だと感じました。

  人は、態度のよくない隣人や怒鳴り散らす会社の上司、家族とのあいだの対立、
  嫉妬や葛藤などを日々処理しながら生きているのであって、
  周囲の人間関係の複雑な機微のなかで、人生の糸を紡いでいる。
  日常性とは、呆れはてるような不断の調整の積み重ねなのです。
  生きることに絶対の解決方法、万能薬などありません。
  人は、反権力にも、正義にも、世界平和にも、酔い痴れることができます。
  そこに「政治」が生まれてしまう。
  でも政治的熱狂だけでは、人間の幸福は実現しない。
  「人間」はもっと複雑な生き物、あるいは慎み深い生き物だからです。(p.165)

「深いなぁ」と思いました。
まさに、日常性とは「不断の調整の積み重ね」です。
今、私たちは、コロナの影響でとても厳しい状況の真只中ですが、
コロナ以前も、コロナ以後も、常に「不断の調整の積み重ね」に変わりはありません。





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Last updated  2020.05.09 17:46:38
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