770398 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

乱読・積んどく・お買い得!?

乱読・積んどく・お買い得!?

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Freepage List

Category

Archives

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Comments

chiko619@ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593@ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist@ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist@ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist@ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…

Headline News

2020.05.23
XML
カテゴリ:社会・政治・時事
​ 『言ってはいけない』の橘さんの手による一冊。
 まず、『PART1「下級国民」の誕生』では、
 バブル崩壊後の平成の労働市場が「下級国民」を生み出した経緯を論じ、
 その後、令和の日本がどのような社会になるかを展望しています。
 
  平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る」ための
  30年だったとするならば、
  令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」ための20年になる以外はありません。(p.73)

このことが、実に明快に表現されているのは、次の部分です。

  先日、経済官庁の若手官僚と話をする機会がありました。
  たまたまこの話題になって、
  「働き方改革がようやく始まったが社会保障改革はどうなるのか」と訊いたら、
  彼はしばらくきょとんとした顔をしていて、
  それから「誰も改革なんかに興味ありませんよ」といいました。
  私はすぐにその意味がわからなかったのですが、
  その後、2020年の人口ピラミッド(図表8)を見て
  彼がいわんとしたことを理解できました。
  団塊の世代は政治家にとって最大の票田です。
  彼らの死活的な利害が「会社(日本的雇用)」から「年金」に移ったことで
  「働き方改革」は進められるようになったものの、
  年金と医療・介護保険の「社会保障改革」はますます困難になりました。(p.77)

結局、政治家は「社会にとって必要なことをする」のではなく、
「自分を議員にしてくれる人たちの欲することをする」ということです。
そして、そういう政治を、多くの人たちも望んでいる。
このような状況は、民主政治という仕組みをとり続ける限り続くのでしょう。

そして、『PART2「モテ」と「非モテ」の分断』では、
現代日本社会における「下流」の大半は高卒・高校中退の「軽学歴」層であり、
ポジティブ感情(幸福度)は、この非大卒において低くなっているとしたうえで、
大卒の若い男性で、なぜそれが低くなっているのかについて論じていきます。

また、『PART3 世界を揺るがす「上級/下級」の分断』では、
現在の世界各国の状況について概観していきます。

  1960年代以降の「後期近代」の中核に位置する価値観は
  「自分の人生を自由に選択する」、すなわち「自己実現」です。
  そしてこれが「平等」と結びつきます。
  なぜそのようになるかはとてもシンプルで、
  「他者の自由を認めなければ自分の自由もない」からです。(中略)
  リベラルな社会では、ひとびとは「私が自由に生きているのだから。
  私の利益を侵さないかぎり、あなたにも同じように自由に生きる権利がある」
  と考えるようになります。
  これは「他者の自己実現には干渉しない」ということであり、
  わかりやすくいえば「あなたの勝手にすればいいでしょ」になります。(p.155)

このような「リベラル化」が世界中で進んだことから、
個人の自由を拒む者は即座に「悪」のレッテルを貼られ、
共同体の解体が進み、人間関係は即興的なものに変わっていきました。
そして、自由と引き換えに、究極の自己責任が求められるようになったのです。

また、「知識社会」「リベラル化」「グローバル化」は三位一体の現象であり、
「グローバル化」によって、数億人が貧困から脱出することが出来ました。
しかし、このことによって世界全体における不平等は急速に縮小したものの、
先進国においては、中間層が崩壊してしまうという事態が生じてしまいました。

米国において、中間階級から脱落しかけている白人ブルーワーカーたちは、
東部や西海岸のエリートである白人リベラルからバカにされるだけでなく、
アファーマティブアクションにより黒人などからも抜け駆けされていると感じており、
誰からも同情されない「見捨てられた人々」になっている状況です。

仕事も家族も友人も失った彼らは、「プアホワイト」と呼ばれ、
自分が「白人」であることしか誇れるものがなく、「白人至上主義」へと傾倒していきました。
一方、ヴァーチャル空間でグローバルな仮想共同体を形成したリベラルは、
自分たちの社会に興味を失い、現実世界から撤退し始めるだろうと著者は述べています。

そして、ポピュリズムとは「下級国民による知識社会への抵抗運動」だとしたうえで、
やがて「技術」と「魔術」の区別がつかなくなると「知能」はその意味を失ってしまい、
「知識社会」は終焉を迎えることになるだろうと述べています。
著者が指し示した未来の姿は、決して明るいものではありませんでした。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2020.05.23 20:26:27
コメント(0) | コメントを書く
[社会・政治・時事] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.