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2021.02.28
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カテゴリ:社会・政治・時事
​ 三重県志摩市東部の的矢湾に浮かぶ渡鹿野島(わたかのじま)。
 著者は、売春島”と呼ばれるこの島に出向き、住民から話を聞くと共に、
 法務局で不動産登記簿を調べ、国会図書館で住宅地図を閲覧することで、
 次のような事実を知ることになります。

  まず、パブやスナックを装った置屋ができたのは1970年代のこと。
  それまでは、宿泊施設はあったものの、寂れた離島だったということだ。
  1980年代に入ると、パチンコ屋が出現するなど
  飲み屋とギャンブル場が混在する繁華街の様相になる。
  以降、1990年代にかけて置屋が乱立し、文字通り”売春島”の様相に。
  ホテルなど商業施設もスクラップ&ビルドを繰り返していた。(中略)
  そして2000年代に突入すると、パーセルビーチが整備されるなど、
  売春島”からの脱却が進められ、それに反比例するかのごとく、
  現在に近づくにつれホテルや置屋が廃業していくのである。(p.66)

さらに、過去の報道資料や関連書籍に当たるうち、
帆船で物資を運搬していた時代には、この島が”風待ち港”として、
それらの帆船を、物資調達や船員の休息のために受け入れていたことや、
次の事実を知るのです。

  走りがね(ハシリカネ)とは、江戸時代より明治30年代頃に鳥羽の名物であった、
  船人相手の女郎のことである。(中略)
  明治以降はハシリカネが禁じられたほか、汽船も登場し、
  風待ちの必要がなくなると、船の出入りが徐々に減り、
  ハシリカネも姿を消していく。
  昭和10年代にはその姿を見なくなったという。
  だが、それは遊郭へと形を変え以降も終戦後の1957年、
  売春防止法の制定まで女郎の文化は続いた。(p.67)

以降、著者はこの島の変遷をより明らかにすべく、次々に関係者を訪ね歩くことに。
そして、かつて島の顔役として君臨した大型ホテル『つたや』の原所有者にも会います。
その内装工事は中断されたままで、
その理由は、次のようなものでした。

  今、三重県や志摩市役所から私の資産を差し押さえる旨の督促状がきています。
  内容は、競売での取得額が500万ほどのところ、
  実際の『つたや』の不動産評価額が1億4000万ほどある。
  すると、国に払う名義変更をするための登録免許税が300万ほど、
  県に払う不動産取得税に至っては450万ほど。
  そうして国が取って、県が取って、
  今度は市に払う固定資産税が毎年280万ほどかかってしまうのです。
  裁判所の競売で取得した物件は、不動産鑑定士が現場を確認し、
  現状の評価額を鑑定して最低売却価格が決まります。
  そうしてプロがつけた評価額が、当初は1000万ほどだったところ、
  買い手がつかず500万まで下がり、私が購入しました。
  そういう経緯があるので、今、不動産取得税は県に対して、
  固定資産税は市に対して、物件の評価額が高すぎるという
  『審査請求』の異議申し立てを始めたところです。(p.258)

地方都市のリゾート地の別荘やホテル、寂れた駅前に立つビジネスホテルは、
競売でタダ同然に売り出されていますが、なかなか再生されないのは
このような評価額のバカ高さからだと、この所有者は言います。
取得後の税金を考えれば、タダでもいらない物件ばかりだとも。

   ***

最後の「評価額」の問題は、なるほどなと頷かされました。
地域再生を目指すなら、何とかクリアしていかねばならない問題だと感じます。
以前読んだ『飛田で生きる』が、そこで生きる人々をリアルに描き出したのに対し、
本著は、ちょっと違う視点から島を見つめ、問題提起をしてくれています。





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Last updated  2021.02.28 11:27:25
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