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カテゴリ:社会・政治・時事
私が、本著タイトルから最初にイメージした内容とは、随分異なる一冊でした。
私は、苦境に喘ぐテレビ業界について論考した内容のものをイメージしたのですが、 本著は、『さよならテレビ』というドキュメンタリー作品を担当した 東海テレビのプロデューサーが、ドキュメンタリーについて記したものです。 著者が関わった数多くのドキュメンタリー作品について、その制作過程が描かれ、 ひとつひとつの作品を作るために、どれほどの苦労があったかがしっかりと伝わってきます。 なかでも、樹木希林さんが関わった作品の記述については、とても興味深い内容で、 それぞれのエピソードに、希林さんの人柄がよく表れていると思いました。 「この番組で、何を言いたいですか」 番組をモニターした後、記者にそう質問されることが多い。 最初は丁寧に答えていたのだが、だんだん馬鹿らしくなってきた。 「いま観たでしょ。それを書いてください。 小説を読んで、作家にそんな質問しますか。 画家に絵の意味を解説させないでしょ」 作品を観てもなお、作者の意図を聞くというのは、どういうものだろうか。 ただの番組宣伝の場だと思ってしまうと、そんなやりとりでいいのかもしれないが、 記者との真剣勝負を求めているというのに、あまりの残念さに、 つい辛辣なことを言ってしまう。(p.324) 本著においても、著者のこの考えが貫かれているように感じました。 決して「この本で、何を言いたいですか」などと、質問してはいけないのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.01.23 10:19:06
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