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カテゴリ:社会・政治・時事
本著を読み始めてしばらく経った頃、
ロシア軍によるウクライナへの侵攻が始まりました。 そして、本著を読み終えた今、その侵攻はまだ続いており、 解決への出口は、未だに見えないままです。 本著は、戦争をいかに収拾すべきかについて論じた一冊です。 まず、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、 さらに、湾岸戦争やアフガニスタン戦争、イラク戦争といった 20世紀以降の主要な戦争の終結について、歴史的に振り返っていきます。 そして、終章「教訓と出口戦略」において、 著者は次のように述べています。 以上のように、優勢勢力側にとっての「将来の危険」が大きく、 「現在の犠牲」が小さい場合、 戦争終結の形態は、「紛争原因の根本的解決」の極に傾く。 逆に優勢勢力側にとっての「将来の危険」が小さく、 「現在の犠牲」が大きい場合、 戦争終結の形態は、「妥協的和平」の極に傾くことが分かる。 さらに優勢勢力側にとっての「将来の危険」と「現在の犠牲」が拮抗する場合、 戦争終結の形態は不確定となり、 「紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」をめぐって 交戦勢力間で戦略的相互作用が生じ、これが均衡点に影響した。(p.261) この「交戦勢力間で戦略的相互作用」というのが、なかなかの曲者で、 優勢勢力同士においても、そのパワーバランスや個々の思惑が複雑に絡み合い、 とても一筋縄でいくものではありません。 それに比べ、劣勢側の取るべき選択肢は、極めて限定的なものとなってしまいます。 また、個々の戦争終結の事例は、それぞれに固有の特色を持つものであり、 類似点はあろうとも、全く同じということは決してありません。 現在進行形で行われている紛争についても、これまでのものと類似点はあっても、 その態様は大いに異なり、その対応も全く異なるものが求められているのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.03.13 18:19:52
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