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カテゴリ:社会・政治・時事
『逆襲される文明 日本人へⅣ』に続く第5弾。
文藝春秋2017年10月号から18年1月号、18年3月号から21年10月号、 22年1月号に掲載された塩野さんの、その時々に書かれた文章をまとめたもの。 4年余に渡るイタリアや日本、世界の出来事を振り返ることができます。 *** これを眺めていて、ツイッターで勝つにはどう振る舞うべきかが、 アナログそのものの私にもわかったのだった。 第1に、短文でなければ、やるだけ無駄であること。 第2は、写真よりも動画のほうがインパクトが強いこと。 第3に、口調は常に攻撃的でケンカ腰であること。 第4は、舌戦の場からは絶対に退場しないこと。 それどころか、相手の攻撃には時をおかずに反撃し、 しかも言説に誤りがあっても訂正などはせず、くり返し波状攻撃をつづけること。(p.45) これは、イタリアの五つ星トップと北部同盟トップのツイッター合戦に対し述べられたもの。 ツイッターの特性を、しっかり見抜いておられると感心。 しかしながら、これがグローバルスタンダードなんだと再認識させられ、 何だか残念で、寂しくも思いました。 ところが諸行は無常だから、個々人の努力とは関係なく時代は変わる。 それへの対応を怠ると、社会全体がギクシャクしてくる。 個人規模だと自信を失い始め、その結果経済力も劣化し始め、 不安になるから他者に対して不寛容になり、 自分とちがう考えには過度に神経質な反応を返すようになる。 つまり、常にイライラしているので、それによる怒りを誰彼となくぶつけるようになり、 怒る権利は自分のほうにあると思うようになるから、他者への責任転嫁、 そして次にくるのは政治不信。(p.73) 近年、ネット上で飛び交う言説には、 眉を潜めたくなるようなものが多くなってきましたが、 その背景にあるものが、見事に指摘されていると感じました。 皆さん自信が持てず、不安で、神経質で、不寛容で、方々に怒りをぶつけまくってる…… 帰国して以後テレビで予算委員会での質疑を見ながら痛感したのは、 政治不信とは、政治家自身が作っているのだということである。 痛烈な質問もよい。 それに対して逃げを打つのもわからないではない。 だが、こんなことをくり返しているだけでは、 日本が直面している数多くの難題はいつになったら解決できるのか。 何らかの手段でこのくり返し状態を脱け出る方策を示してこそ、 国民が国政を託す人として選んだ政治家であることを示す、 絶好の機会になるのではないかと思う。(p.150) まさに、現在の国会はプロレス状態。 お約束の役割を互いに演じ続けているだけで、 それが行きつく先は、いつもお決まりの時間切れ。 「このくり返し状態を脱け出る方策」を示すことが出来る人は、いつ現れるのか…… *** 本著で、最も衝撃を受けたのは「ローマでの”大患”」。 コロナ禍の中、こんな大変な事態に陥っていたんですね。 しかし、ローマの病院事情がリアルに伝わって来る、大変興味深い内容でした。 以後、すっかり回復されたのでしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.02.19 11:27:17
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