|
カテゴリ:文芸
「薬剤師・毒島花織の名推理」シリーズの第5弾。
第1話「毒消し山荘の奇妙な事件」では、 爽太が花織とその同僚薬剤師・刑部夢乃と一緒に伊豆山中へ出かけ、 デジタル・デトックスとリラクゼーション体験が売りの <毒消し山荘>と呼ばれるエコロジカルな宿で過ごします。 最終日の朝食時、夫と共に宿を経営する蕪木忍から、3人は<幸運の種子>を渡されます。 百目鬼(どうめき)社長と関りがあると思われる男からの封筒を手にした花織は、 東京へと向かう電車の中で、その封筒に入っていた暗号文の解読に成功しますが、 <幸運の種子>が何なのかには気付いたものの、忍の思惑は分からないままでした。 第2話「うつの双つの顔」は、304号室に3週間ほど宿泊し続けている黛美晴を巡るお話。 常にハイテンションで自己主張が強く、次々に要望を繰り出すため、担当の馬場は疲労困憊。 過去の諸事情を爽太に打ち明けた馬場は休養、美晴の担当は爽太が引き継ぐことになります。 爽太は、美晴が服用している薬について花織に相談し、問題解決の糸口を見つけるのでした。 第3話「カンナビス・クライシス」は、新しい薬剤師・早瀬朱音を巡るお話。 旅行会社が運営する予約サイトに、爽太に対する悪意ある口コミが投稿されたり、 薬局の金庫からなくなっていた麻薬が、花織のロッカーの中に置かれていたりする事件が続発。 早瀬を不審に思った爽太は彼女を尾行、そこへ<毒消し山荘>のスタッフ・咲良が現れます。 何と二人は姉妹で、咲良は<幸運の種子>を返して欲しいと爽太に言うのでした。 爽太が既に手元にないと言うと、咲良はハイキングコースのチェックポイントへの案内を要求。 しかし、3人が現地に向かおうとしたところへやって来たのは、麻薬取締官たち。 その後、百目鬼社長が関係者たちを集め、事の顛末について語るのでした。 *** 今回は、「麻薬」と「うつ病」をテーマにした一冊でした。 この二つから、真っ先に私が思い浮かんだのが中島らもさん。 『牢屋でやせるダイエット』の記述には、読んだ当時とても驚かされましたが、 本著文中には、次のような記述がありました。 外国ではカンナビスが未知の薬を創り出す宝の山だと考える節もあるようで、 その研究は日進月歩で進んでいるそうだ。 医療用や嗜好用の大麻を解禁した国はすでにあるし、 そういった国ではカンナビスの研究も解禁となっている。 イギリスでは製薬会社が新薬の創成に携わっているし、 アメリカでは複数の企業が大麻の栽培、研究に取り組んでいる。(p.294) 「現在は、こういう状況なんだな」ということがよく分かり、とても勉強になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.03.12 13:13:26
コメント(0) | コメントを書く
[文芸] カテゴリの最新記事
|