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2023.12.16
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カテゴリ:社会・政治・時事
​ 2000年に刊行された『ローマ人への20の質問』を全面的に改稿したもの。
 当時、塩野さんは『ローマ人の物語』の第9巻「賢帝の世紀」
 (文庫版では24巻25巻26巻が該当)を準備中でした。
 そして、そこで何を取り上げたかについては自信があるものの、
 どう書いたかについては、少々なおざりにしたという思いが残っていたため、
 今回書き改めることにしたとのことです。

   ***

  アテネ人の考えた<市民>とは、
  アテネの領内で両親ともがアテネ人の間に生まれた人間だけを意味していた。(中略)
  一方、ローマ人の方は、市民ないし市民権を、アテネ人とはまったく反対に考えていた。
  アテネ人の考える市民が<血>であれば、
  ローマ人の考える市民とは、<志をともにする者>としてよいかもしれない。(p.110)

  人間世界で悪なのは、格差が存在することではない。
  格差が固定してしまうことなのだ。
  ローマはそうではなかった。
  元老院議員の少なくない部分が、
  属州民か解放奴隷を祖先にもつと言われたくらいだから。(p.115)

何れも、ローマがローマたる所以が伝わってくる記述。
普遍帝国として、長きに渡り存続し続けたのも頷けます。

  戦闘開始を前にしての降伏勧告は、古代では、戦場でのマナーとされていた。
  勧告を受け容れて降伏すれば命も助かり奴隷化も免れるが、
  拒否すれば女子供でも戦闘員と見なされ、敗北しようものなら、
  財産もろとも勝者の所有に帰したのです。
  これは<勝者の権利>と呼ばれ、この権利に疑いをいだく人は、当時は存在しなかった。
  殺されようが奴隷に売りとばされようが、
  敗者には抗議する権利すらなかったのだ。(p.188)

戦闘というものの厳しさを、突きつけられる記述。
時代や地域による違いも、当然多々あったのでしょうが。

  なぜなら、この法に関するかぎりは、女たちのほうに理があったからだ。
  不倫とか姦通は、当事者間で、つまりは私的に解決されるべき問題であって、
  公が介入するたぐいの問題ではない。
  ローマ人は、私有財産の保護が議論の余地もない大前提であったことが示すように、
  <私>と<公>をはっきりと区別する民族だった。(p.220)

とても考えさせられた記述。
最近、<私>と<公>の区別が、あまりにも曖昧になりすぎているような……

  この奴隷制が全廃されるのは、
  いかなる宗教を信じようとも人権は尊重されねばならないとした、
  啓蒙主義の普及によってだ。
  その証拠に、どの国の奴隷制度廃止宣言も、18世紀末に集中している。
  古代は、この啓蒙主義よりは2000年も昔。
  人間が人間の自由を奪うことへの抵抗感が希薄であったとしても、
  それが時代であったとするしかない。(p.186)

本著の中で、最も心に残った部分。
人類の長い歴史の中では、ほんの一瞬としか言いようがない現在という時を、
極めて限定的な地域、文化の中で生きている一個人が、自身の価値観や尺度を当てはめ、
異なる時代、異なる環境で生きた人を非難することには、引っかかりを覚えてしまいます。





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Last updated  2023.12.16 12:12:57
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