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2024.03.17
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カテゴリ:社会・政治・時事
​ 副題は「愛国と神話の日本近現代史」。
 「『戦前』とは何だったのか?」について、
 神話と国威発揚との関係を通じ、その正体に迫ろうとする一冊。
 著者は、評論家・近現代史研究者の辻田真佐憲さん。

   ***

  戦前といっても切り口はいくらでもあるが、
  本書では、日本神話からアプローチすることにした。
  すなわち、大日本帝国を
  「神話に基礎づけられ、神話に活力を与えられた神話国家」と定義したうえで、
  戦前を5つの神話にもとづく物語に批判的に整理した。
  その物語とは、「原点回帰と言う罠」「特別な国という罠」「祖先より代々という罠」
  「世界最古という罠」「ネタがベタになるという罠」の5つである。(p.276)

「原点回帰という罠」は「第1章 古代日本を取り戻す-明治維新と神武天皇リバイバル」に、
「特別な国という罠」は「第2章 特別な国であるべし-憲法と道徳は天照大神より」に、
「祖先より代々という罠」は「第3章 三韓征伐を再現せよ-神裔たちの日清・日露戦争」に、
「世界最古という罠」は「第4章 天皇は万国の大君である-天地開闢から世界征服へ」に、
「ネタがベタになるという罠」は「第5章 米英を撃ちてし止まむ-八紘一宇と大東亜戦争」に、
それぞれ記されており、どれもこれもたいへん興味深い内容ばかり。
個人的には、特に第3章で多くの新しい発見や気付きが得られ、勉強になりました。

  このような物語を否定するのはたやすい。
  神武創業の実態は西洋化だったし、
  日本人が昔から特別に忠孝を大事にしていたわけでもない。
  もとより日本より古い文明はいくらでもあるし、
  日本の神々が世界をつくった云々は荒唐無稽というしかない。(p.276)

著者は「第6章 教養としての戦前-新しい国民的物語のために」において、
このように述べたうえで、次のように続けていきます。

  そもそも他人に満点を求める人間自身が満点だった例などみたことがない。
  現実的な落としどころは、
  日本は6割5分ぐらいよくやったというところにあるのではないか。
  日本は問題とされる行動をしたけれども、
  全体的にみれば欧米列強の侵略に対抗して近代化・国民化を成し遂げた。
  だから、過去の誤りを認めながら、今後よりよい国をつくっていこう。
  こういう立場であれば、多少不利な資料が発掘されても、動ずることがない。
  たしかに戦前の物語にはいくらでも欠点が指摘できる。
  だがそれで植民地化の危機をまぬかれることができたのだから、
  一定の評価は与えられてしかるべきだろう。
  ただ、それを不可侵にしてしまうとネタがベタになる危険があるので、
  35点を引いたわけである。(p.286)

冷静かつニュートラルな指摘で、とても共感できる記述。
物語の重要性についても、本書全体を通じて伝わってきました。





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Last updated  2024.03.17 09:10:53
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