こんにちは。
本日は、「おもしろ歴史ウォーキング 神奈川編」からのネタです。
前回の「関東編」同様、「神奈川編」も、ツイッターやブログで、まだご紹介していない章がいくつかあることに気付きました。
…ということで、第8章の『 癒しスポット満載! 温泉と芸術の町・湯河原で、心身ともにリフレッシュ 神奈川県湯河原町 』をお送りさせていただきます。
諸事情があって、冒頭の部分だけですが…。
すべての記事は、こちらですよ。
是非、本書もご覧いただければ幸いです。
ちなみに記事は、少し前に訪れたときのものです。取材した頃のように、何の心配もなく出歩ける日が返ってくることを祈っています。
1.鎌倉幕府成立に多大な貢献をした土肥実平ゆかりの湯河原
今回は、神奈川県の湯河原町を歩きます。
湯河原というと、温泉をイメージされる方が多いのではないでしょうか。
最近は、会員制リゾートの開発でも注目されていますね。湯河原はそれ以外にも、文豪や有名な画家ゆかりの場所でもあるらしい。
本書のテーマである歴史ウォーキングの立場から見ると、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての武将、土肥実平ゆかりの場所でもあります。
土肥実平は、のちに鎌倉幕府を開く源頼朝の挙兵に参加した武将。有名な石橋山の戦いで頼朝がわずか7、8騎で敗走したとき、この中に加わっていたと言われています。その後、平家との合戦で大活躍し、中国地方の守護にも任じられたらしい。
ちなみに、関ヶ原の戦いで有名な小早川氏の祖とも言われているのですか。ただ、小早川秀秋と血がつながっているわけではありませんので、念のため。
湯河原には、土肥実平の城館があったと言われる城願寺や土肥城という山城など、城好きが喜ぶスポットもあるみたい。
ただ、土肥城までは急峻な山道を1時間も歩く必要があるということで、後ろ髪をひかれる思いで次の機会にしました。
今回は、湯河原を文学や美術の視点から歩いてみたいと思います。
2.クスノキの巨木と五所神社
スタートは、東海道線の湯河原駅。今回のウォーキングコースで迷う人はいないかもしれません。何しろ、駅を出て、目の前の国道75号線に沿って歩いていくだけ。
これから目指す観光スポットのほとんどは、国道の近くにあるのですよ。
広い通り沿いに商店が並ぶ駅前の繁華街を歩き、東海道線と東海道新幹線の高架を抜けます。すると目の前に、巨木に抱かれるように立つ神社が…。
ここは、今から1300年ほど前、加賀の住人二見加賀之助重行らの手によってこの地方が開拓されたとき、土肥郷の総鎮守として祀られたという五所神社。
社殿はそれほど古そうではありませんが、歴史を感じさせるのは、樹齢600年、かながわの名木百選にも選ばれているクスノキの存在感ですね。
道を挟んだ反対側には、さらに古そうな根回り約16メートル、樹齢800年以上という明神のクスノキがありました。
3.有名な日本画家が名付けた滝がある
さらに国道を進むと、道がゆるやかな坂道になり、だんだんと周りが温泉街の雰囲気になってきます。国道の近くに景色のいい川があったので、そちらの遊歩道を利用して次の目的地を目指しました。
地図で見ると、これは千歳川という名前らしい。水量が豊富で瀬音が心地よい。いかにも、古い温泉街に流れている雰囲気の川ですね。
途中、温泉街の観光スポットはありますが、まずは湯河原の自然を楽しもうと、国道に戻り坂道をどんどん上って行きます。
上るに連れて、隣を流れる千歳川の川幅が狭くなり、緑も多くなってきました。栖鳳橋という小さな橋を渡ると、右手に小ぶりな滝が見えます。これが、だるま滝。
日本画家の竹内栖鳳がこの周辺を散歩していて、滝がだるまのように見えることから名づけたそうです。
だるまに見えるかな、と長い間眺めていましたが、自分にはわかりませんでした。「動物を描けば、その匂いまで描く」と言われた有名な画家は、さすがモチーフの捉え方が違うと感じた次第です。もっとも当時とは、滝の形が変わっているのかもしれませんが。
4.夏目漱石未完の絶筆「明暗」に登場する滝がある
またしばらく歩き、右手の案内板に従って、茶店を横目に山道を少し上ると、だるま滝よりも大きな滝が見えてきます。この滝は、不動滝というらしい。
高さ15メートル、幅は約3メートル。観光地の滝としてはコンパクトなサイズですが、この滝は、日本近代小説の最高峰とも言われる漱石未完の絶筆「明暗」にも名前が登場するそうなのですよ。そう思うと、牛丼にプレミアムがついたような気になりますね。
(以下、「おもしろ歴史ウォーキング 神奈川編」に続く)
このあと、昭和11年2月26日に起きたクーデター未遂事件「2.26事件」で、東京以外唯一の現場と言われる「光風荘」を見学します。
事件の日、ここに逗留していた前内大臣牧野伸顕も襲撃されたそうです。
そのすぐ近くにある万葉公園は、日本の歴史公園100選にも認定されたらしい。
温泉地の中心にある公園なのに、深山幽谷の世界が堪能できました。
関東の歴史ウォーキングの醍醐味が味わえる続きは、是非、こちらをご覧いただければ幸いです。
「おもしろ歴史ウォーキング 神奈川編」
(参考)
目次より
第1章 幕末の日本が震撼! 黒船が襲来した三浦半島・浦賀と当時の面影を残す浦賀道 神奈川県横須賀市
1.巨大UFO襲来のようなインパクトがあった幕末の黒船
2.今も残る巨大造船施設跡・浦賀ドック
3.源氏の天下に貢献した、夢が叶う神社がある
4.房総の山並みが一望の浦賀城址
5.渡し船から浦賀の眺望が楽しめる
6.社殿の彫刻が見事な西叶神社
7.浦賀水道が一望できる愛宕山公園
8.浦賀の町は興味深い歴史スポットがいっぱい
9.江戸から明治時代に使われた灯台が復元されている
10.当時の面影を残す江戸と浦賀を結ぶ浦賀道
11.縄文時代の貝塚と中世の城跡が共存するスポットがある
12.怒田城の縄張りに関する一考察
第2章 幕末の歴史スポットが目白押し! 桜吹雪の東海道・神奈川宿を歩く 神奈川県横浜市
1.坂本竜馬の奥さんゆかりの神奈川宿・田中屋
2.横浜開港当時、白ペンキで門を塗られてしまったお寺がある
3.神奈川宿には、知る人ぞ知る桜の名所がある
4.ヘボン式ローマ字ゆかりのお寺がある
5.戦後の大イベントの舞台になった反町公園
6.桜のじゅうたんと野趣あふれる桜の風景
第3章 住宅街に歴史スポットが数多く残る懐島郷とサザンオールスターズゆかりの湘南を歩く 神奈川県茅ケ崎市
1.巨匠が作った童謡・赤とんぼの歌碑がある
2.見ざる、言わざる、聞かざる、の三猿が出迎えてくれる源頼朝の重臣ゆかりの懐島郷
3.700メートルもの松並木の参道がある鶴嶺八幡宮
4.珍しい富士の景色が見られる場所がある
5.関東大震災のとき、水田の中から忽然と浮き出てきた中世の橋脚
6.サザンオールスターズゆかりのサザン通り商店街
7.多くの人たちから愛される「サザン」ネーミングの秘密
8.烏帽子岩が見えるサザンビーチちがさき
9.伝説の野外ライブが行われた茅ヶ崎公園野球場
第4章 関東屈指の観梅の名所・曽我梅林と富士山、伊豆半島、相模湾の絶景が楽しめる極上ハイキング 神奈川県小田原市
1.関東屈指の梅の名所・曽我梅林
2.日本三大仇討ちの一つ「曽我物語」に登場する曽我兄弟の故郷
3.後北条氏の時代にはじまる曽我の梅林
4.明治時代、境内で高等教育が行われていた瑞雲寺
5.北条早雲に滅ぼされた大森氏ゆかりの宗我神社
6.曽我物語・工藤祐経襲撃事件の真相とは
7.今もお寺の名前から存在が伝わっている曽我城
8.急坂をのぼれば、富士山と伊豆半島、相模湾と梅林のコラボを満喫できる
9.二宮金次郎ゆかりの塚がある
10.3つからなる曽我梅林のなかで一番広い別所梅林
第5章 壮大な海軍遺産とスタンド・バイ・ミーの気分が味わえる三浦半島の旅 神奈川県横須賀市
1.自衛隊の艦船が見える港
2.今も工場の施設として利用される旧海軍の建造物
3.三浦半島に、かつて水雷技術を習得するための学校があった
4.古い日本映画に登場するような倉庫がある
5.明治・大正・昭和に建造されたトンネルが見える駅
6.倉庫群の中を縦横無尽に走る廃線
7.トンネルの中にも戦争の痕跡が
8.ブルーな海の近くにある横浜DeNAベイスターズ練習場
9.自衛隊や米軍の艦船が一望できる公園がある
10.大ヒットした海外ドラマ「SHOGUN」のモデルが眠る公園
第6章 横浜の涼感スポット・帷子川親水緑道と悲劇の名将・畠山重忠の旧跡 神奈川県横浜市
1.過去と現在の景観との違いを楽しめるのもウォーキングの魅力
2.プチ里山ハイクの気分を味わえる帷子川親水緑道
3.歴史のロマンが生まれそうな白根不動尊
4.開発が進む住宅街に聳える白糸の滝・大滝
5.プチ深山幽谷気分を満喫できる公園がある
6.謀略で殺された悲劇の名将・畠山重忠終焉の地
第7章 かつての東京の奥座敷・綱島は、豊かな森と歴史スポットがいっぱい 神奈川県横浜市
1.70年近い歴史の幕を下ろした綱島温泉東京園
2.創建不詳のミステリースポット・綱島鎮守 神明社
3.地形が興味深い諏訪神社
4.探検ログハウスと古墳が魅力的な綱島公園
5.駅近くに豊かな自然が広がる綱島市民の森
6.中世土豪館の屋敷構えを残す飯田家住宅
第8章 癒しスポット満載! 温泉と芸術の町・湯河原で、心身ともにリフレッシュ 神奈川県湯河原町
1.鎌倉幕府成立に多大な貢献をした土肥実平ゆかりの湯河原
2.クスノキの巨木と五所神社
3.有名な日本画家が名付けた滝がある
4.夏目漱石未完の絶筆「明暗」に登場する滝がある
5.大事件ゆかりの場所と癒しのスポットが共存
第9章 古代の古墳の展示場と関東の高野山をめぐるさわやか散歩 神奈川県横浜市・川崎市
1.発展するベッドタウンのミステリースポット・市ヶ尾遺跡公園
2.壁にノミの跡が残る横穴古墳の玄室
3.古墳のデパート・稲荷前古墳群
4.川崎市制60周年を記念して作られた自然豊かな王禅寺ふるさと公園
5.日本最古の甘柿の品種が発見された関東の高野山・王禅寺