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カテゴリ:経済・金融
フィンテック、ロボトレーダーなど金融にも人工知能技術がどんどん採用されてきている。
そんな金融の現状と未来を書いた本。 ●進化を遂げる人工知能 深層学習によって人工知能は飛躍的進化を遂げた。 パターンを全て覚えさせるのではなく、特徴量と呼ばれる重要な変数を機械自身が学習していく。 もはや人間は、機械が学習した内容を理解できないほど複雑な計算をしている。 ●金融のロボトレーダー化 ロボトレーダーにより、人間が執行するより遥かに有利な取引ができる。 迅速に取引できるだけでなく、取引の意思決定もできる。 数百ナノ秒という短い時間で、他の顧客が注文してからその注文が届くわずかな時間差を利用して確実に安く買って高く売ることができる。 株式市場だけでなく、流動性が高い為替市場や原油の先物市場においてもロボトレーダーが活躍している。 ●ヘッジファンドにおける人工知能活用 近年、ヘッジファンドがGoogleなどのIT企業から有能な人材を引き抜いて、ロボトレーダーの開発を進めている。 ●ロボアドバイザー ロボアドバイザーは、証券会社において一般の顧客でも使用できる身近な人工知能である。 一般の人々は通常資産運用に十分な知識を持っていない。 これまでは人間の資産運用アドバイザーがその知識やスキルを補っていた。 人間のアドバイザーは、自身の手数料欲しさのために必ずしも顧客にとって有益でないアドバイスをしたり認識バイアスによって、 重大な情報を見逃す可能性があるがロボアドバイザーにはそのような心配はない。 機械学習により、顧客の適性やライフステージに沿った適切な提案をすることができるようになってきている。 ●機械学習 従来は人工知能といっても人間がプログラミングした通りに動いているだけだった。 しかし、機械学習は与えられたデータから機械が自ら学習する。 機会がどのようなフレームワークで学習するかは人間が決めるが具体的にどのような学習をしたのかは人間にはわからないことが多くなってきた。 ●これからの仕事 例えば20世紀前半に大量にいた電話交換手は、1980年代までにはいなくなり 証券取引所の立会いも無くなった。全てシステム化によるものである。 将来ロボットに取って代わられるかの判断基準としては「知覚とマニピュレーション」「創造性」「ソーシャル・インテリジェンス」である。 ●金融ロボット後進国・日本 日本は、例えばホンダのアシモのような人型ロボットの分野では優れているが、 金融ロボアドバイザーなどの姿の見えないロボットに関しては遅れている。 それは、規制に守られ続けてきた生保業界、欧米諸国と比べて低い投資意欲などによる。 ●金融の未来 金融の人工知能化によって、どの金融機関も同じような運用結果、サービスを提供することになり特徴が無くなっていく。 これからに必要なのは公共的な役割である。 中小企業や低所得者といった、これまで十分にサービスの行き渡らなかった人たちに提供することや、社会的意義が高い仕事や繊細な心遣いが必要な個人に対する業務に人間が関わることが必要になるのではないか。と筆者は説いている。 人工知能が金融を支配する日【電子書籍】[ 櫻井豊 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年08月13日 07時19分45秒
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