ココロの森

【内容情報】（「BOOK」データベースより）
眠れぬ夜の「ひとり尻取り」、満員電車のキテレツさん達、屈辱の幼稚園時代―
ヘンでせつない日常を強烈なユーモアとはじける言語センスで綴った、
名翻訳家による抱腹絶倒のエッセイ集。待望のＵブックス化。



公の場で読めぬエッセイ三人衆の中のひとりである岸本さん。
（※注：藤紫基準。　他の二人は　三浦しをんさん、穂村弘さん）

本書も面白かったです
『ねにもつタイプ』のほうが、爆笑回数は上回りますがw

（読書日記は　こちら）



算数のテストを解いている最中に
問題文中の所持金不足でりんごが買えなかった少年に同情し
彼の心に寄り添って涙ぐんでいるうちに終了時間になってしまう
「空即是空」。

寝付きが悪くなったので、布団の中でしりとりをしようと試みるも
「ず」「る」等で始まる語彙の不足に気づき、
起きている間中、その語彙収集に勤しんで本末転倒の結果になる
「夜枕合戦」。

部屋の名前からホールの壁、提供される料理や温泉の湯に至るまで
ありとあらゆるところにキノコが使われていて霊気すら感じる
「国際きのこ会館の思ひ出」

「アタッシェケース」が「アタッシュケース」、
「シュワルツェネッガー」が「シュワルツネッガー」と
誤った発音のほうが一般化してしまった不思議の考察
「シュワルツェネッガー問題」


等等、今回も笑わせていただきました





内容紹介にもある「満員電車のキテレツさん達」も凄かった。



　まったく表情を変えずに終点まで『私の青い鳥』を歌い続ける
　エリート風サラリーマンや、
　だれかが車内でハクションとくしゃみをするとちいさく
　「だいまおう」と合いの手を入れる、声だけで姿の見えないおじさん、
　新聞紙を頭からすっぽり被り、
　顔の前であわせてダブルクリップで留めている「雪ん子男」など
　枚挙にいとまがない。



っていったい、小◯急沿線ってどんな人が住んでいるのか。




ちなみに私は
日本一速いが日本一揺れるので沿線住民は皆足腰が強い
と噂の立つ京◯線で通勤通学していたのだけれど
私が出逢ったキテレツさんたちは

　　磯野波平風の薄い頭髪にもかかわらず、
　　頭頂の無毛地帯全体を黒マジックで塗りつぶし、
　　しかもそれが水性マジックらしく、
　　汗や雨で濡れた「髪」が黒い雫となって顔面に流れ落ち
　　周囲の乗客に様々な意味で恐怖感を与え続けていた
　　「マジック・ハ◯男」さんや

　　毎朝朝シャンしたての濡れ髪をくくりもせず
　　周囲の乗客の服をタオル代わりにする
　　「朝シャン定子」

　　信じ難い突進力で満員の車内を連結器部分まで進み
　　左右の足を連結器部分に置き、鼻歌を歌ってご満悦だった
　　「連結器男」　　

　あと一度だけだが
　満員電車の中でマニキュアを塗っている女もみた。
　ボックス席の前に陣取り
　坐っている人のアタマの上にくるような格好で
　マニキュアの小瓶を持っていた。
　電車が急ブレーキをかけないように、と気が気ではなかったが
　その女が別の日にビューラーで睫毛をあげていたときには思わず
　「電車よ、揺れろ！」と念じた。




話がそれたが
終わりの方で紹介されていた
岸本さんお薦めの本も気になったので
ここにupしておきます。

勿論、「読書メーター」にも記録しましたよん♪



『パプリカ』筒井康隆

【内容情報】（「BOOK」データベースより）
精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者／サイコセラピスト。
だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。
他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。
人格の破壊も可能なほど強力な最新型精神治療テクノロジー「ＤＣミニ」をめぐる争奪戦が刻一刻とテンションを増し、
現実と夢が極限まで交錯したその瞬間、物語世界は驚愕の未体験ゾーンに突入する。




『千年往来』吉田知子
（詳細は「藤紫の読書メーター』リンクよりどうぞ）


『一人の男が飛行機から飛び降りる』バリー・ユアグロー

【内容情報】（「BOOK」データベースより）
一人の男が飛行機から飛び降りる。
涙を流しながら、靴箱いっぱいのラブレターを空中に投げ捨て…
・魚を先祖に持つ女の逸話
・世界で最後の煙草を持った男が、
ブロンド女からマッチを手に入れようと苦労した物語
・サルタンのハーレムを警備していた私が、テントの中を覗き込んで見たものとは…
などなど、あなたが昨夜見たかもしれない、
リアルでたのしい悪夢、１４９本の超短編。




『母の発達』 笙野頼子

【内容情報】（「BOOK」データベースより）
殺しても母は死ななかった。
「あ」のお母さんから「ん」のお母さんまで、分裂しながら増殖した―
空前絶後の言語的実験を駆使して
母性の呪縛を、世界を解体する史上無敵の爆笑おかあさんホラー。
純文学に未踏の領野を拓いた傑作。




『説教師カニバットと百人の危ない美女』笙野頼子

【内容情報】（「BOOK」データベースより）
ほーっほっほっほ。美人、それがどうかしたの！？
私は世界一美しいブスよっ。
はてしなき結婚と容貌についての問い―芥川賞作家による空前の傑作純文学。





『くっすん大黒』町田康

【内容情報】（「BOOK」データベースより）
三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、
毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。
誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます―
日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、
作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作、待望の文庫化。




『田紳有楽／空気頭』藤枝静夫

【内容情報】（「BOOK」データベースより）
あくまで私小説に徹し、自己の真実を徹底して表現し、
事実の奥底にある非現実の世界にまで探索を深め、
人間の内面・外界の全域を含み込む、
新境地を拓いた、“私”の求道者・藤枝静男の「私小説」を超えた独自世界。
芸術選奨『空気頭』、谷崎賞『田紳有楽』両受賞作を収録。