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2009.07.08
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内容(「MARC」データベースより)

「星の王子さま」の作者には、
エキゾチックで不思議な魅力を持つ妻コンスエロがいた。
彼女の手記のほか、2人が交わした山のような手紙、写真、デッサンなど、
誰も知らなかった過去を物語る数々の遺品をまとめた一冊






 *   *   *

 「愛しのコンスエロ、
  あなたは一生、死ぬまでぼくの妻です。

             アントワーヌ」

 

   「彼は私の星だった、
    私の運命、私の信仰、私の終着点だった…

                  コンスエロ」



  -   -   -



サンテグジュペリ生誕100年にあたる2000年に、
それまで手つかずだった、コンスエロがニューヨークに持ち帰った大型トランクが開けられて、なかから見つかった彼女のタイプ原稿が出版された。
それはまさに青天の霹靂でその現象は今も続いている。
アントワーヌの読者たちは突然、彼に妻がいて、
その妻はいたるところ彼の後をついていき、
彼は彼女に抱いた情熱を手紙に書き続けていたことを知ったのである。
『バラの回想』は生誕100年の最大の出来事となった。
発売と同時にベストセラー、すぐに27カ国語に翻訳され、作品は世界中をまわった。
その翌年、1943年から書かれた手紙で、
彼が帰ってきたら読んであげようと残していた『日曜日の手紙』が出版された。
『バラの回想』より魅力的な手紙の数々では、
二人が抱き合っていた類い稀な愛が語られ、
それはほんの数行で読み取ることができる。




『バラの回想 夫サン=テグジュペリとの14年』




とても興味深い本でした。

御多分にもれず、私も「星の王子さま」の物語は大好きで
内藤濯・訳のものと、近年発売された大好きな池澤夏樹・訳のものと
2冊持っています。

 


一昨年には『星の王子さま展』へも行き、
アントワーヌの生い立ちや人柄、その哲学の基盤となるものにも触れたのですが
(日記こちら
本書は そこでもあまり触れられていなかった
彼の文字通り「生涯の妻」、コンスエロとの愛の物語が
手紙やポートレート、メモや電報など
たくさんの写真とともに綴られています。

どの写真のコンスエロもとても美しく魅力的。
その上、喋り上手で芸術の才にも恵まれていた彼女は
当時の欧州上流階級や芸術家たちのミューズでした。

若くして2度の結婚をしますが
どちらも長く続かぬうちに彼女は未亡人となり、
二度目の夫は作家であり大実業家でもあったため
遺産の管理や整理が大変でした。
その遺産整理のため、
多くの後見人や弁護士たちを引き連れて訪れた旅先で
ふたりは出逢います。

出逢って一時間後のプロポーズのシーンはとても印象的。
(アントワーヌの命とも言うべき飛行機の上なんです!)

それから間もなく、ふたりは結婚しますが
彼女はまだ前夫の喪が明けていないので、黒いドレスで挙式します。

そのこともあってか、
自由奔放で快活でお喋りな彼女は
敬虔なカトリックである彼の家族からは
快く受け入れてもらえません。

コンスエロの淋しさ、
彼のパイロット生活と女性関係からくるすれ違い、
戦争や疎開で離ればなれになっている間のお互いの恋、
アメリカでのつかの間の幸せな暮らしと
「星の王子さま」の誕生、
そして、彼のフランス軍への復帰、従軍。
行方不明になっても彼に書き続けた手紙・・・

どれもこれもがドラマのようです。
10人分の人生を一度の生で経験しているかのよう。


特に、彼が晩年
フランス軍への復軍を強く望み、
それが彼の本当の望みであり、宿命であり、
撃墜されるのがわかっているのに送り出さねばならぬシーンは
あまりにもあっさりとしているだけに、
逆に強い愛の絆を感じます。

そしてここから後の手紙のやり取りが
ふたりの交わした書簡のなかで、
もっとも美しく情熱的な言葉で綴られます。


アントワーヌが、彼女が毎晩唱えるべきお祈りの文章を彼女に贈り、
彼女はそれを毎日読み、祈る。
彼の望み通りの女性を演じることに陶酔していくコンスエロ…


逢えない故に、
そして、もう二度と逢うことがないことを
互いに知っているが故に、
お互いを神格化していく様は
愛を超えて狂気すら感じます。



王子様のバラであり続けた彼女の人生。




アントワーヌの 孤独ゆえの奔放さと、
コンスエロの奔放ゆえの孤独は、まるで合わせ鏡。

出逢うべくして出逢ったふたりなのだと
心から感じました。












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最終更新日  2009.07.09 13:17:22
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